【連載】 徹底解説!令和2年度 診療報酬改定 | 第8回:新型コロナウイルスとオンライン診療
こんにちは、華です。
全世界で「新型コロナウイルス」が猛威を振るっています。
最前線である病院でも、悲しいですが、感染が多数報告されています。
今、人と人との接触率の削減が求められており、医療でもオンライン診療(遠隔医療)という新しい診療スタイルに注目が集まっています。
この記事の目次
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2020年度診療報酬改定で要件緩和
2018年の診療報酬改定でビデオ通話などを利用したオンラインでの診療について、「オンライン診療料」が新設されました。それから2年が経過した2020年度診療報酬改定では、政府主導で「働き方改革」が進められている背景から、その一つの対策として「ICTの利活用」が改定の柱として打ち出されました。それを受けて「オンライン診療」のさらなる活用を促すために、算定要件が緩和されています。
改定内容は、事前の対面診療の期間を「6月から3月」に短縮し、緊急時の対応についても「緊急時に概ね30分以内に対面による診察が可能な体制」を「患者が速やかに受診可能な医療機関で対面診療を行えるよう、予め患者に受診可能な医療機関を説明した上で、診療計画に記載しておくこと」と変更されています。
また、オンライン診療料の対象疾患に、定期的に通院が必要な「慢性頭痛患者」が追加されています。
一方、従来の遠隔医療の考え方に立ち返り、「へき地、医療資源が少ない地域に属する保険医療機関において、やむを得ない事情により、二次医療圏内の他の保険医療機関の医師が初診からオンライン診療を行う場合について、オンライン診療料が算定可能」となりました。
「オンライン医学管理料」については、医学管理等の通則から、個別の特定疾患療養管理料など医学管理料において、「情報通信機器を用いて行った場合の評価」として再編が行われています。
第3回 ICT化の評価①でも少し触れていますね。
新型コロナウイルスの対応通知(2020/2/28)
今回、新型コロナウイルスの対応として2020年2月28日に厚生労働省より「新型コロナウイルス感染症患者の増加に際しての電話や情報通信機器を用いた診療や処方箋の取扱いについて」が発表されました。
病院での受診を控えたい慢性疾患の患者に対して、電話再診やオンライン診療の活用が特例で認められています。
<通知概要>
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「新型コロナウイルス感染症患者の増加に際しての電話や情報通信機器を用いた診療や処方箋の取扱いについて」(2020/2/28)<厚生労働省>より引用
この通知により、定期的に受診している慢性疾患患者に対して、電話やオンラインでの診察、処方が例外的に可能になりました。
診療報酬算定にあたっては、オンライン診療ではなく「電話等再診料」で、「処方箋料」を算定できるとされています。
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新型コロナウイルスの対応通知(2020/3/19)
2020年2月28日の通知に続き、新型コロナウイルスの感染拡大が進む中、2020年3月19日に厚生労働省は、新型コロナウイルスの感染拡大防止策としての電話や情報通信機器を用いた相談・診療等の臨時的・特例的な取扱いをまとめました。
<発症が容易に予測される症状の変化に対する処方について>
既に診断され治療中の慢性疾患等を有する患者について、当該患者が複数回以上受診しているかかりつけ医等が来院による新型コロナウイルスへの感染の危険性や当該患者の疾患の状態等を考慮した上で治療上必要と判断した場合に限り、当該患者の原疾患により発症が容易に予測される症状の変化に対して、これまで処方されていない慢性疾患治療薬を電話や情報通信機器を用いた診療により処方することは可能である。
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「新型コロナウイルスの感染拡大防止策としての電話や情報通信機器を用いた診療等の臨時的・特例的な取扱いについて」(2020/3/19)<厚生労働省>より引用
この通知により、慢性患者の処方については過去に処方されていない薬でも、電話や情報通信機器を用いた診療により処方することが可能となりました。ただし、この時点では初診での電話やオンラインでの対応は認められませんでした。
緊急事態宣言(2020/4/7)
4月7日に7都府県に「緊急事態宣言」が安倍総理より出されました。安倍総理の説明の中で、政府が7日にまとめた「緊急経済対策」の発表があり、「オンライン診療に関し、過去に受診歴のない患者についても初診から認める」ことが盛り込まれました。新型コロナウイルスの院内感染を防ぎ、病床や医療従事者の不足による医療崩壊を防止することが狙いで、感染拡大が収まるまでの時限措置で4月13日に解禁されました。
多くの医療機関が注目する「オンライン診療」は、2020年度の診療報酬改定による要件緩和、そして、その後の「新型コロナウイルス」の感染拡大を防止する手段として、大きく進もうとしています。今回の例外的な対応が受診の新しい流れを生み、「蟻の一穴」のように、オンライン診療の普及の契機となるかもしれません。
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ブログ記事は掲載時点(2020年4月)における情報をもとに執筆しており、著者の意見や経験に基づく内容を含んでいます。掲載している情報の正確性について万全を期しておりますが、その内容について保証するものではありません。
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