【連載】 華と学ぶやさしい医療ICT | 第9回:プライベートクラウド
クラウドには種類が2つあります。
ひとつは「パブリッククラウド」で、クラウド環境を不特定多数のユーザー(医療機関)がインターネットを通じて利用するサービスです。
クラウドと聞いて、世の中の大半がイメージしているのは、これではないでしょうか。
もう一つは「プライベートクラウド」で、クラウドの技術を用いて、その医療機関あるいは法人ごとに、クラウド環境を個別に構築するものです。
\ プライベートクラウドの事例を紹介 /
パブリッククラウドの仕組み
「パブリッククラウド」とは、サービスプロバイダのクラウド環境を、不特定多数のユーザーがインターネットを通じ、利用者がシェアして利用するサービスです。オンライン上で簡単な手続きですぐに使えることや、費用もサブスクリプション方式を取っている場合が多く、病院が利用した分しかコストがかからないことから、価格を抑えることが可能です。
一方で、不特定多数のユーザーがインターネットからアクセスできるサーバを利用することになるため、プランによってはアクセス集中によりスピードが遅くなることもあるでしょう。また、インターネット障害、サーバ障害などトラブル時の対応、情報流出等の対応、サービスプロバイダのポリシーにゆだねることになります。勿論、殆どのクラウドサービスが3省3ガイドラインに準じて構成されています。
クラウドサービスはコストばかりに目が行きがちですが、プランによっては可用性が十分でない場合がありますので、サービス内容も十分に理解し、プランを選択してください。
一方、プライベートクラウドは?
「プライベートクラウド」とは、病院の運用にあわせて環境の構築やカスタマイズができるのが主な特長です。
プライベートクラウドはサーバの置き場所の違いによって、呼び方を区別しています。
- 病院内で構築される「オンプレミス型プライベートクラウド」
- いわゆるレンタルサーバ「ホスティング型プライベートクラウド」
オンプレミス型プライベートクラウドの仕組み
「オンプレミス型プライベートクラウド」は従来型のサーバ構成(単なるオンプレミス)とは何が違うのでしょうか。
オンプレミス型プライベートクラウドは、様々な部門システムのサーバ環境を仮想化して、一つのクラウド基盤上に構成します。
結果として、従来の物理サーバ(オンプレミス)と比較して、各端末に対するリソース配分をスピーディーに行うことが可能です。サーバ側にシステムの利用環境を構築し、それを各端末が個々の設定(ソフトインストール)などを行わなくても利用できるようになります。また、クラウド環境ではリソースを使った分だけコストが発生する仕組みにできるため、各部門システム毎に発生したコストを計算しやすいというメリットがあります。
これまでは各部門システム毎にサーバを何台も用意していたと思います。バラバラの更新時期、保守期間、運用方法だったのが、オンプレミス型プライベートクラウドにすることで、一括管理ができるようになります。
またサーバ毎に用意していた過剰なリソースは不要になります。足りなくなったら足す。オンラインで追加可能なので、簡単に増設できます。予め用意しておかなくても必要になったときに、ちょいちょいと追加することができますよ!
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製品紹介
次世代ハイパーコンバージドインフラストラクチャ
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ホスティング型プライベートクラウドの仕組み
「ホスティング型プライベートクラウド」は、いわゆるレンタルサーバです。病院専用にサーバを貸してくれるので、VPNや専用回線などを利用し、院内とネットワーク接続し、利用します。
先に紹介したオンプレミス型プライベートクラウドでは、病院側が設備を全て準備し、管理も病院側で行いますが、ホスティング型プライベートクラウドではレンタルサーバの利用料と回線費用を支払う形になります。物理的な設備の管理をサービスプロバイダに任せることが可能です。
例えば5年間の利用で考えた場合は、オンプレミス型プライベートクラウドよりも割高になる場合が殆どです。
似たようなサービスに「ハウジング」というものがあります。こちらは、サービスプロバイダがサーバの置き場所を提供するサービスです。サーバ機器などの設備はすべて病院側の持ち物で、ハードウェアの管理も病院になります。
オンプレミス、プライベートクラウド、パブリッククラウドの比較
もーーー、ややこしいですね!
従来のオンプレミス型(通称クラサバ)と、パブリッククラウド、プライベートクラウド(ホスティング型・オンプレミス型)との違いを比較表にまとめてみました。参考にしてみてください。
現在、上記表のように、病院がシステムを構築する方法が多彩になってきていることが分かります。このほかにも、パブリックとプライベートを使い分ける「ハイブリットクラウド」と呼ばれるものもあります。それぞれの仕組みのメリット・デメリットを十分に理解して、適した方法を採用してください。
選択に迷う場合は、是非、弊社にご相談ください!
次回は「AI・RPAの医療における可能性」です!
とうとう最終回になります(泣)
お楽しみに!
★今後の予定★
(第1回)医療ICTの歴史
(第2回)医療情報の標準化
(第3回)プラットフォームという考え方
(第4回)画像・検査の管理
(第5回)データを経営に活かす
(第6回)クラウド社会とリスク対策
(第7回)効率的なシステム構築
(第8回)「ソフト」と「ハード」を分けて考える
(第9回)プライベートクラウド
(最終回)AI・RPAの医療における可能性