小西氏の言う「統合的な仮想化基盤」とはどのようなものか。2010年から取り組んできた仮想化統合と何が違うのだろうか。
「これまで、電子カルテ、検査系、画像系、医事会計、情報系など、独立した複数の仮想化システムを運用してきた経緯があります。私たちが『統合的な仮想化基盤』で実現したいのは、標準化されたインフラテクノロジー上でこれらの多様なアプリケーションを安心・安全に稼働できる環境です。次のチャレンジは、同じHPE SimpliVity 基盤上で電子カルテシステムを稼働させることです。」と小西氏は力を込める。
今回のプロジェクトでは、HPE SimpliVity 上に病院グループウェアをはじめとする3群の仮想化システムが集約されたが、これは「統合的な仮想化基盤」の実現を見据えた評価を兼ねている。
アルファテック・ソリューションズの船田幸弘氏は、「私たちの提案のポイントは、HPE SimpliVityによる仮想化基盤をサイロ化させることなく、将来にわたって使い続けることのできる統合基盤を実現することでした。電子カルテシステムの統合に際してはHPE SimpliVityを増設し、数年後に新しいアプリケーションを統合する場合にはさらにHPE SimpliVityやサーバーノードを追加することで対応可能です。さらに、古くなったHPE SimpliVityから順に、計画的にリフレッシュしていくこともできます。」と話す。
新しい仮想化基盤の運用が開始されて、田浦氏はHPE SimpliVityならではのメリットを実感しているという。
「バックアップが完全に自動化されたことで、運用負荷は大幅に軽減されました。しかも、病院グループウェアのイメージバックアップはわずか5秒で完了します。リストアもクリック操作だけの簡単な手順で行え、仮想マシンのクローン作成に要する時間は5分程度です。」(小西氏)
HPE SimpliVityでは、格納するデータを「部品データ」と「メタデータ」に分解して個別に管理し、トランザクションが発生すると新しい部品データとメタデータ、メタデータのクローンをそれぞれ物理的に別の2筐体で同時保存する。こうしたデータの最小化が「秒速バックアップ」を可能にするポイントである。
「専用のハードウェアアクセラレーターを搭載し、本体のCPUに負荷をかけることなくデータ圧縮や重複排除を実行できることもHPE SimpliVityの特長です。本番環境での重複排除・圧縮の効果は40%以上に達しています。」とATSの村尾大治氏は話す。
「使い慣れたvCenterからHPE SimpliVityを操作できることも嬉しいですね。リソースや稼働の状況をわかりやすく表示してくれますが、日常的な運用はほとんど手放しの状態です。」と田浦氏は笑顔を見せる。
可用性・耐障害性に優れた基盤、手間のかからない運用、ATSとHPEが連携する保守体制――これらが整えられたことで、「統合的な仮想化基盤」の理想に大きく近づいた。最後に、小西氏が次のように語って締めくくった。
「HPE SimpliVityにより、クラウドと同等の俊敏性や拡張性をオンプレミスの基盤で実現しました。この基盤を拡張・更新しながら、理想の『統合的な仮想化基盤』へと成長させていきたいと考えています。電子カルテの移行に際しては災害対策が不可欠ですが、HPE SimpliVityのRapid DRを使ってこれを実現するための検討も開始しました。ATSには、これからも継続的なサポートを期待しています。」