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「災害時医療継続」と「ICT復旧」

こんにちは、華です。


前回の記事で「テープにバックアップする苦労」について、ほんの少し触れさせていただきましたが、実際のところ非常にかさばるテープの山は、突然の自然災害発生時にほとんど持ち出すことができないということを、東日本大震災の時に痛感しました。




病院ではその時、津波によって浸水した院内から救出できた古いテープから電子カルテ データを復元しようとしました。
そもそもテープが劣化していたこともあり作業に時間はかかったものの、無事にデータを復元することができたとお聞きしました。


その病院では、不幸中の幸いというべきか、震災発生の直前に”遠隔バックアップ体制”の構築を行っていたそうで、その際に「テープ装置は故障しやすい」ということから、電子カルテデータをD2D(Disk to Disk)でローカルにバックアップした後で、テープにも記録するという二重のバックアップ体制に切り替えていたそうです。
おかげでD2Dに保存されていた直近のデータは、電子カルテメーカーさんの手でとてもスムーズに復元できたということでした。


この話は、とても印象深いものでした。

データのバックアップは、データの復旧と、表と裏。

いざという時に役に立たないバックアップデータは、日々どれだけの苦労をして保存・管理していたとしても、何の価値も持たないと、本当の意味で理解するきっかけになりました。





DR (Disaster Recovery:災害復旧)サイトの重要性




災害時に医療を継続するにも、カルテのデータは重要だと思います。

一方で、上述した事例について話を聞いた時に、「非常時にはまず、DPC (Diagnosis Procedure Combination) データが利用できればいい」ということも学ばせていただきました。電子カルテシステムを利用するための機材などが失われているために、電子カルテデータをすべて揃えてもすぐには使えなかったそうです。


しかし、システムは、時をおいて復旧されます。

大災害の混乱の中、地域住民の多くが、保険証やお薬手帳を失くしてしまう事態にあって、電子カルテデータまで失われてしまっては大変です。


自然災害は、いつ発生するか厳密には分かりません。

医療ICTの備えとして、とても重要になるのがDRサイトです。


たとえ、手元にあるシステムやハードウェアが地震や津波、火災などで失われた場合でも、遠隔地に仮想化したシステムがコピーされていれば、非常時にはすぐにシステムを切り替えて、事業を継続させることができます。


DRサイトは、パブリッククラウドサービスを利用して独自に構築されてもいいですが、HPE SimpliVity を活用することで簡単に構築することもできます。

前回紹介させていただいた「秒速バックアップ」で、DRサイトに小まめにデータを保存。

さらにBCP/DR自動化ツール「HPE SimpliVity - Rapid DR」を使用することで、災害時には自動的に仮想マシンが起動し、アプリケーションの再起動まで実行されます。混乱を極める災害時にも、人の手を介することなく、必要なサービスを継続提供することができるのです。


例えば、地域医療連携を支えるWebサービスなどには、DRサイトが必要となるのではないでしょうか。あるいはまた、職員の安否を確認するために、院内のコミュニケーション環境をDRサイトで復旧させることも考えられます。

そのほかにも、医療の現場でのニーズはさまざまにあると思います。





過剰な投資は避けて、確実に役立つ方法を




もっとも、先ほど「非常時にはまず、DPCデータが利用できればいい」というお話があったように、すべてのシステムに対してDRサイトが必要だということではありません。


BCP(災害時医療継続)対策には、さまざまな方法があります。


パブリッククラウドサービスを最小限に利用して、バックアップデータの格納先とするだけでも、大きな成果が得られるでしょう。小さなデータだけではなく、容量の大きなPACSの画像データも、極力コストをかけずに遠隔地にバックアップできる方法を検討されることも重要かと思います。


当社としても、皆様のニーズに適した提案をさせていただきたいと思います。




記載の企業名、製品名は各社の商標または登録商標です。ブログ記事は掲載時点(2021年2月)における情報をもとに執筆しており、著者の意見や経験に基づく内容を含んでいます。掲載している情報の正確性について万全を期しておりますが、その内容について保証するものではありません。





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