愛知県教育委員会様

電話相談窓口に生成AIを導入し
報告書の作成業務を自動化

愛知県教育委員会が、主に小中学校に関する保護者からの相談窓口「家庭教育相談電話」の対応業務に生成AIを導入し、音声の文字起こし、
整形、要約、定型書式への落とし込みに至る業務フローを自動化した。
これにより、家庭教育コーディネーターの大きな負担となっていた報告書の作成を効率化し、保護者に寄り添った相談を充実させている。
アルファテック・ソリューションズ(ATS)が構築したMicrosoft Azure AI SpeechとAzure OpenAIを組み合わせた高精度の「音声認識・
文書作成システム」は、愛知県教育委員会における生成AI活用に先鞭をつける成功例となった。

愛知県教育委員会

県庁 名古屋市中区三の丸三丁目1番2号

2021年に策定した『あいちの教育ビジョン2025 -第四次愛知県教育振興基本計画 -』において、「自らを高めること」と「社会の担い手となること」を基本とし、かけがえのない生命や自分らしさ、多様な人々の存在を尊重する豊かな人間性と「知・徳・体」にわたる生きる力を育むための教育を進めている。
お客様の課題
  • 「家庭教育相談電話」の充実と、相談員の働き方改革を同時に推進するための環境整備
  • 愛知県教育委員会における「生成AI活用」の成功モデルを示す
ソリューション

 

  • Microsoft Azure AI SpeechとAzure OpenAIを組み合わせた高精度の「音声認識・文書作成システム」を構築
  • 音声の文字起こし、整形、要約、定型書式への落とし込みに至る業務フローを自動化
導入成果

 

  • 手作業に依存していた電話相談内容の報告書作成を自動化
  • 家庭教育コーディネーターの業務負荷を大幅に軽減
  • デジタル化された報告書を相談内容の傾向分析や対策協議で利用可能に

「家庭教育相談電話」の業務フローを自動化

愛知県教育情報通信ネットワークの最新化、GIGAスクール構想に基づく児童生徒向けPC/タブレット端末の配布と無線LAN環境の整備、教員向けAI搭載PCおよそ12,000台の配布――これらは、愛知県教育委員会が策定した基本計画『あいちの教育ビジョン2025』で掲げた「ICT活用教育の推進」における成果だ。愛知県教育委員会事務局 ICT教育推進課 振興・ネットワークグループ 主事の立木佑典氏は次のように話す。

「学校現場でICT教育を推進するための環境整備は大きく進展しました。現在は、最新化されたツールやICT環境を適切に使いこなしていくための支援活動に力を注いでいる段階です。同時に、急速に進化するAI技術の活用を視野に、教育DXのさらなる推進策を模索しています」
立木氏は、県行政のデジタル化・AI活用をリードする愛知県 情報政策課 DX推進室のメンバーを兼務しており、愛知県教育委員会における業務へのAI適用の実務も担っている。

「私たち自身のデジタル変革も重要です。教育委員会の中にはデジタル化が難しいアナログ業務が残っており、AIを活用することでこれを打開できないかと考えていました。事務局として各部門へのヒアリングを開始したのは2024年度からです。今年度は効果の大きい成功例を示すことで、組織全体でAI活用によるDXを加速させたいという思いもありました」(立木氏)

立木氏の発案に呼応したのは、愛知県教育委員会事務局 あいちの学び推進課 振興・計画グループ 主事の田島浩貴氏である。同課は、教育振興基本計画の策定から教育改革の推進まで幅広い業務を担当している。県内初となるフレキシブルハイスクールの開校は重要な成果のひとつだ。

「あいちの学び推進課の家庭教育・地域連携支援グループでは、保護者の方々からの相談窓口として『家庭教育相談電話』を開設しています。電話相談を受けた後の報告書作成は手作業に依存しており、家庭教育コーディネーターの業務負荷が高いことが問題視されていました。これを生成AIで効率化できるのではないかと直感したのです」(田島氏)
愛知県教育委員会事務局_立木佑典様
愛知県教育委員会事務局
ICT教育推進課
振興・ネットワークグループ
主事
立木 佑典 氏
愛知県教育委員会事務局_田島浩貴様
愛知県教育委員会事務局
あいちの学び推進課
振興・計画グループ
主事
田島 浩貴 氏
アルファテック・ソリューションズ株式会社_古城隼氏
アルファテック・ソリューションズ
株式会社
社会公共事業部
自治体文教技術グループ
構築チーム
古城 隼 氏

多大な工数を要する「手書きの報告書」

あいちの学び推進課が開設する「家庭教育相談電話」には、子どもの学習や学校生活、家庭での生活習慣やしつけなど日々様々な相談が寄せられる。いじめや不登校、引きこもりなど、切実な悩みを抱える保護者も少なくない。田島氏は次のように話す。

「電話相談には、経験豊富な家庭教育コーディネーターがお応えしています。子育てに正解はなく、引きこもりを克服することも容易ではありません。保護者の気持ちをしっかりと受け止めながら話を聞き、一緒に解決方法を考えることが重要です。1件の相談に要する時間は30分以上に及ぶこともあり、相談件数は年間およそ300件に達します」

電話相談を終えた相談員は「報告書」を作成して課内で共有する。月次のミーティングでは、この報告書をもとに相談内容の傾向分析が行われ、今後の対応方法が協議されるという。
「最大の問題は、手書きのメモをもとに手書きの報告書を作成していたことです。熟練相談員でも報告書の作成には多大な時間を要し、最も重要な電話相談そのものにかけられる時間に影響します。また、手書きの報告書は編集や加工が困難で、タイムリーな情報共有も容易ではありませんでした」(田島氏)

立木氏は、「これらのアナログ業務を、デジタル化と自動化によって抜本的に見直す方針を確認しました。ATSと打合せを開始したのは2025年の夏 です。私たちはディスカッションを通じて構想を具体化しながら、『生成AIを活用する家庭教育相談電話業務DX』をスタートさせました」と続けた。

人手を介さずに報告書を自動生成

ATSは、愛知県教育情報通信ネットワークの最新化を含め、愛知県教育委員会における様々なプロジェクトに携わってきた。自治体や教育委員会へのMicrosoft 365やMicrosoftセキュリティソリューションの導入でも豊富な実績がある。


「人手を介さずに報告書を自動生成することが目標です。これにより、電話相談の正確な記録を残しながら、相談員がより親身な相談に力を注げるようにしたいと考えました」と立木氏は話す。
ATSの提案は、MicrosoftのAIテクノロジーを統合的に活用して高精度の「音声認識・文書作成システム」を構築するというものだった。電話を受けた相談員が、メモを取り、報告書を作成する流れをどのようにデジタル化するのか。ATS 社会公共事業部 自治体文教技術グループ 構築チームの古城隼氏は次のように説明する。


「まず固定電話での通話内容をデジタル録音し、そこからAzure AI Speechが文字起こしをして、Azure OpenAIが文書の整形、要約、定型書式への落とし込みまでを一気通貫で実行します。愛知県様ではMicrosoftの製品やテクノロジーを幅広く利用されており、アカウント管理の一元化が可能なことなどメリットが大きいと考えました。ATS社内にはMicrosoftテクノロジーに精通した技術者が多数在籍していますので、安心してお任せいただくことができます」


立木氏は、「ATSの提案は、シンプルかつ合理的に私たちのやりたいことを具現化するものでした」と話しつつ次のように続けた。
「私たちの業務に特化した機能に絞り込んだことで、投資対効果の観点でも満足できるシステム構築が可能でした。また、録音データを学習データとして使わない、クラウド上に処理済みのデータを残さない、という要件も満たしています」
音声認識から文字起こしの精度、要約生成の精度を高めるために、テスト用の音声データを使った検証が繰り返された。ATSのエンジニアチームは、追加学習やRAGを用いることなくプロンプトの工夫だけで推論の精度を高めていった。


「結果として、家庭教育コーディネーターが満足できる品質の報告書を、自動的に作成できる環境を整えることができました。2025年12月より本番利用を開始しており、実際の評価はこれからではありますが、家庭教育相談電話チームの生産性は劇的に向上することは間違いないでしょう」と田島氏は話す。

音声認識・文書作成システムによる自動化プロセス

AI活用とDXの成果をより広く

生成AIによる報告書の自動作成により、相談員の業務負担を大幅に軽減し、より親身な相談に力を注いでもらいたい、という目標は達成が見えてきた。

 「この先は、デジタル化された相談記録を有効活用していく段階に入っていきます。家庭教育相談電話チームでは、月ごと季節ごとの相談内容の分析をもとに、相談対応の質を高めていく取り組みを開始しました。また、あいちの学び推進課でデジタルデータを効果的に共有し、新しいチャレンジにつなげていくことを検討中です」と田島氏は抱負を示す。

 

立木氏は、「教育委員会が獲得した情報や知見を、適切に学校教育の現場に提供していくことが重要だと考えています。教職員の方々に、これまでなかった新しい気づきを提供できるかもしれません」と話した。


愛知県では、Microsoft Copilotを全職員が利用できる環境が整えられており、様々な業務への適用に向けて模索が始まっている。立木氏は次のように結んだ。

「AIが職員一人ひとりの生産性向上に貢献してくれる可能性を日々実感しています。AIが創造する新しい価値を、チームや部門レベル、あるいは全庁レベルで享受するには、私たちが明確なビジョンと戦略を描き、それを一緒に具現化してくれるパートナーが不可欠です。プロジェクトを支援してくれたATSには、手探り状態の私たちに寄り添って、私たちの構想を理想に近い形で具現化してもらえたことに感謝しています」

本資料に記載の会社名、団体名や製品名は各社の商標または登録商標です。
記載事項は個別に明記された場合を除き2025年12月現在のものです。

関連情報

2025年1月、愛知県教育委員会が、県内のおよそ180校で15,000名の教職員が利用する「愛知県教育情報通信ネットワークの最新化を完了させた。 既存の境界分離セキュリティを活かしながら、ゼロトラストの考え方を組み入れた独自の「ハイブリッドモデル」を採用。最新の Microsoft のソリューションにより情報セキュリティを強化すると同時に、端末を1台に集約して教職員の利便性を高めている。 ネットワンシステムズとアルファテック・ソリューションズは、愛知県教育委員会と緊密に連携し難易度の高いプロジェクトを成功に導いた。

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