
【連載】Windows 11で注目の生成AI新機能「Copilot in Windows」をフル活用!|第3回
Windows 11で最大の目玉と言える機能が、AIアシスタント「Copilot in Windows」(旧Windows Copilot)です。2022年9月のOSアップデート(22H2)で新機能として初登場し、2023年10月のアップデート(23H2)では初期状態から有効となるように変更されました。さらに、最新となる2024年10月のアップデート(24H2)で対応機能を強化しています。
Copilot in Windowsは対話型のAIチャットという形態で利用でき、デスクトップ右側にあるドッキングパネルなどで、パソコン操作から文書作成まで多様な作業を依頼できます。このAI機能は、MicrosoftがWeb検索「Bing」に搭載していたAI機能「Bing Chat」を改良したものです。Bing Chatは、パートナー企業のOpenAIが開発した生成AI「GPT-4」を検索用にカスタマイズしました。
MicrosoftはCopilotを名称に含む多数のAI機能を展開しています。Microsoft 365には「Microsoft 365 Copilot」を搭載し、Word・Excel・PowerPointなどのアプリにおける作業の効率化に利用できます。また、「GitHub Copilot」はPython・Java・JavaScriptなどのプログラミング言語で利用できる生成AIで、ソフトウェア開発業務を支援します。
本記事で紹介するCopilot in Windowsは、主にOSの基本操作やWebブラウザ、画像関連ツールなど標準搭載アプリの機能を強化し、従来は必要だったひと手間を軽減してくれるAI機能で、業務効率の改善に活用できます。
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パソコンの操作はWeb検索せずにAIに聞く
パソコンの設定を変更したり、使いたいアプリを探して起動したりするといった基本的な操作でも、使い始めのときだけでなく、OSをアップデートすると手順が変わって戸惑った経験がある方も多いのではないでしょうか。そのような時、従来はやりたいことを説明している記事を検索して、その操作を実行するという手順が一般的でした。ですが、Copilot in WindowsがWindows 11に追加されたことで、ユーザーはチャットでやりたいことを聞けば、パソコンがその操作方法を示してくれたり、直接操作を実行してくれたりするようになりました。例としては以下のような操作があります。
・気を散らす通知をオフにする「フォーカス」機能をタイマーで稼働する
・音量を調節したり、ミュートしたりする
・画面のスクリーンショットを撮る
・ファイルエクスプローラーを開く
・アプリを起動する
・圧縮ファイルを解凍する
・画面のダークモード(省電力)/ライトモードを切り替える
・トラブルシューティングツールを起動する
パソコンのショートカット機能を使い慣れていない人にとっては、その操作方法をWebで調べる手間が省けて、短時間で解決することができます。また、習熟者が初心者に教える手間をAIが肩代わりしてくれるので、オフィスでの生産性向上にもつながるのではないでしょうか。
情報収集、文書作成をアシストし業務効率アップ
Copilot in Windowsでは、より直接的に業務効率を向上するAI機能も標準アプリとして追加されました。まずは、自動的に情報を詳しく収集してくれるというものです。例えば、チャットで「企業のAI活用事例を調べてください」と尋ねると、AIが質問に合致する内容のWebサイトを探し、その情報を基に具体的な業界別に企業名、用途、導入効果、情報ソースを盛り込んで要約した文章が出力されます。さらに、出力の末尾に回答内容を深掘りする質問例を表示し、知りたい質問をクリックすると追加の情報を引き出せます。このように、自力で細かい質問を考えたり情報をまとめたりする手間を軽減してくれます。
また文章をCopilot in Windowsに作成してもらうことも可能です。例えば、「具だくさんの肉まんをテレビで宣伝するための文章を作成してください」と依頼すると、以下のような宣伝トークが自動的に作成され出力されます。
「お腹が空いたら、これ!具だくさんの肉まん!ジューシーなお肉とたっぷりの野菜がぎっしり詰まった、満足感たっぷりの一品です。忙しい日でも、電子レンジで簡単に温めるだけで、まるで出来立ての美味しさを楽しめます。家族みんなでシェアして、笑顔が広がるひとときを。具だくさんの肉まん、ぜひお試しください!」
Copilot in Windowsで自分が期待する回答を得るためには、入力する指示文(プロンプト)に5W1Hを明示したり文字数や文章構成を指定したりして、できるだけ明確かつ具体的に書くとよいでしょう。同様に、文章の要約や翻訳も依頼できます。文章作成に関するAI機能は、Microsoft 365のWordが搭載するCopilotで活用する人が多いですが、チャットだけでも利用できます。また、Bingやメモ帳などで表示した文章を基にCopilotに質問できるようなアプリ連携機能も増えています。
OCRやビデオ自動作成などの高度な画像処理を実現
画像処理に関連した多彩なAI活用機能も、Windows 11の標準搭載アプリとして追加されました。以下のように、OCR(文字認識)やビデオ自動作成など、高度な画像処理が可能になっています。
・画像キャプチャーアプリ「Snipping Tool」:読み込んだ画像データから文字要素を認識し、テキストデータとして文字起こしができます。
・動画編集アプリ「ClipChamp」:動画や写真などの素材を選択すると、テーマやBGM、動画カット間のエフェクトなどをAIが自動的に判断して、動画を作成します。
・画像加工アプリ「ペイント」:「Cocreator」(コクリエーター)と呼ばれる機能を追加し、テキストプロンプトで希望のタイプの画像を説明すると、AIがイラスト画像を数分で生成します。ドロップダウンメニューで、水彩、油絵、デジタルアート、フォトリアリスティックなどの選択肢から画像のスタイルを指定することもできます。また、写真の背景を除去する加工も可能です。
・写真加工ソフト「フォト」:編集機能が強化され、背景にぼかしを加えたり、被写体以外をマスクしたりすることが可能になりました。
・手書き文字認識機能「Ink Anywhere」:ペンデバイスによる手書き文字で、検索ボックスやWebフォーム、メールなど、すべてのテキスト入力欄で文字入力ができます。
「Copilot+ PC」でAI機能がパワーアップ
Microsoftは、2024年10月にWindows 11の大型アップデート(24H2)を公開し、40TOPS以上のNPUを搭載し高いAI処理能力を持つ「Copilot+ PC」を対象に、さらに以下のAI新機能を追加しました。
・検索全般の強化:ファイルやアプリを自然な言語で検索できます。ファイル名に一致しない表現でも検索できるため、ファイル名を覚える必要がなくなりました。
・「フォト」:低解像度の写真を拡大すると、従来はピクセルが目立つ粗い画像になりましたが、新機能では解像度を高めて自然な画質で拡大処理できるようになりました。
・「ペイント」:画像の任意の要素を自然な色で塗りつぶしたり、任意の要素を消去したりできるようになりました。
・「Click to Do」:画面上の文書、写真、ビデオなど、任意のコンテンツについてWindowsキーを押しながらクリックすると、AIが処理内容を分析して操作の選択肢を示します。文書なら要約、Web検索、リンク先への移行などの選択肢が、画像なら画像検索、背景処理などの選択肢が表示されます。
・「Recall」:ユーザーがPC上で何を見たか、何をしたかを後から遡って確認できる機能です。定期的にパソコン画面を撮影し、検索可能なタイムラインを作成します。情報漏えいのリスクが懸念されるため、試験的なリリースとなっています。
これらの機能を利用できる「Copilot+ PC」準拠のパソコンは、Dell、Dynabook、HP、Lenovo、Microsoftなどが販売しています。また、Copilot in Windows機能をキーボードから即座に起動できる「Copilotキー」を備える製品もあります。当社で取り扱いのあるHP製「HP Elite X360 830 G11」「HP EliteBook 1040 G11」などは、Copilotキーを持つお薦めの製品です。
次回のブログは、Windows 11のAI機能を存分に活用するための先進的なハードウェアの話題を中心にお届けします。
記載の企業名、製品名は各社の商標または登録商標です。ブログ記事は掲載時点(2024年12月)における情報をもとに執筆しており、著者の意見や経験に基づく内容を含んでいます。掲載している情報の正確性について万全を期しておりますが、その内容について保証するものではありません。
この記事の目次
第1回 | Windows 10のサポート切れまで1年、移行準備のポイントは? 第2回 | セキュリティを強化したWindows 11、求められるハード要件は? ▶第3回 | Windows 11で注目の生成AI新機能「Copilot in Windows」をフル活用! 第5回 | Windows11買替えでも移行は大変、効率化する技は?
第6回 | PC全体の管理もアウトソースさせませんか
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