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新たな情報システムを構築する際に、まずパブリッククラウドの採用を第一候補とする「クラウドファースト」という考え方が、現在では多くの企業に浸透しています。パブリッククラウドを活用することで初期投資を抑えることが可能になり、システムリソース確保の柔軟性やシステム構築の俊敏性も高くなるからです。経営層もこのメリットに着目するようになっており、トップダウン型でクラウド化を推進する企業も増えてきました。
しかし全てのシステムが、パブリッククラウドで実現できるわけではありません。例えば機密性の高い情報を扱うシステムは、現在でもオンプレミスで運用すべきという指摘は少なくありません。このような指摘とクラウド化に向けた掛け声の板挟みになり、苦悩しているIT担当者も多いのではないでしょうか。
そのような事例の1つが、ある国内大手製造業A社のケースです。この会社では2014年頃からトップダウンでクラウドファーストが推進されており、すでに8割程度のシステムがパブリッククラウドへと移行されています。「所有型」から「利用型」へとITシステムのあり方を転換することで高い柔軟性と俊敏性を実現し、ライバル事業者に対する高い競争力を実現しつつあるのです。
しかしここで大きな壁に直面することになります。残り2割のシステムをパブリッククラウドに移行することは、セキュリティの観点から困難だと判断されたのです。これらは製造業の根幹ともいえる、設計データなどを扱うシステム。つまり基幹中の基幹ともいえるシステムが、クラウド化できないということになったのです。
そこでこの会社が着手したのが、これら2割のシステムをオンプレミスのまま更改する、という取り組みです。ただし「クラウドファースト」の大前提は維持したい、という条件付きでした。巨額のコストと時間がかかる従来の方法でシステム調達を行うことは、当初から否定されたのです。
オンプレミスのセキュリティと信頼性、そしてクラウドの柔軟な調達を両立する方法はないのだろうか。この問いへの答えとして同社が選択したのが、日本ヒューレット・パッカード(HPE)が提供する「HPE GreeanLakeフレックスキャパシティ(以下、GreenLake)」の採用でした。
GreenLakeとは、オンプレミスシステムに対して従量課金型の料金制を適用したサービスです。ユーザーはHPEからハードウェアやソフトウェアを購入するのではなく、リソースの利用量に応じた月額料金を支払うことになります。またインフラの設計や構築、ハードウェアやソフトウェアの運用や保守、監視などもHPEやパートナー各社が担当。これらに必要なコストも月額使用料に含まれています。
オンプレミスシステムの構築ではキャパシティプランニングをどのように行うかも大きな課題となりますが、GreenLakeであればこれも簡単にクリアできます。経験豊富なエンジニアが適切なサイジングを行い、将来の拡張に備えた予備リソースも用意されるからです。この予備リソースに対する料金は、実際に利用されるまで発生しません。またHPEの専任エンジニアリングチームは四半期ごとにユーザーと協議を行い、リソース不足が予想される場合には適宜リソースの追加も実施します。
オンプレミスシステムでありながら、まるでクラウドのようなサービス契約が可能な点を、A社は高く評価。この案件ではHPEがA社の既存システムを買い取り、サービスとして提供し直す形態が提案されました。この提案を採用することで、A社は既存システムのまま、オンプレミスのコストを削減。さらにHPEのアカウントチームによるリソース管理にもとづき、新規システムへの更改時期を調整した上で、短期間での移行も実現しています。A社はこの成功を受け、全国の工場に設置されたシステムへのGreenLake適用も計画しています。
A社のケースはセキュリティ上の要件でオンプレミスを維持することになりましたが、サービスレベル確保のためにオンプレミスを選択するケースもあります。その一例が、大手製造業のIT子会社B社の事例です。
この会社は自社システムのハイブリッドクラウド化を進めており、基本的にはパブリッククラウドへの移行を優先する方針となっています。しかし外販するIaaSサービスのパブリッククラウド化については、なかなか結論が出ない状況でした。現在のパブリッククラウドでは、B社が想定するサービスレベルの維持が難しくなると予想されたからです。
その一方で、オンプレミスシステムを基盤としてサービスを展開した場合には、調達コストが高額になり、調達に要する時間もかかることが懸念されました。またB社はこのサービスに自信を持っており、ビジネスの成長が見込まれていましたが、将来の伸び率を正確に予測することが難しく、インフラの拡張をどのように行うかも重要課題となっていました。
そこでB社が選択したのが、GreenLakeを活用した新規共通基盤の構築です。HPEのアカウントチームと包括サポートを含む契約を締結、月額制の従量課金型モデルに加え、サービスレベルを維持するための安定稼働に向けた体制も確立したのです。これによってサービスレベル確保と収支バランスの取りやすさを両立。また一般的な調達よりも社内承認が得やすくなり、拡張が必要となった場合でも短期間での対応が可能になりました。
GreenLakeを活用した新規共通基盤をIaaSサービスとして提供
B社ではこのIaaSサービスを段階的に大規模なものへと成長させていく計画ですが、GreenLakeはこのような戦略と極めて親和性が高いと言えるでしょう。
これらの事例からわかるのは、「クラウドファースト」の目的や理念を達成するために、必ずしもパブリッククラウドを利用する必要はないということです。ここで改めて「なぜクラウドファーストなのか」を考えてみましょう。
パブリッククラウド採用のメリットは、大きく3点あります。第1は初期投資を抑制できること。そのため新システムの構築や既存システムの更改を、低いハードルで実現できます。第2は従量課金によって、リーズナブルなコストで運用できること。必要に応じてリソースを追加していくことで、小さく始めて大きく育てていくことが可能です。そして第3が、リソース拡張の柔軟性が高く、ビジネスの成長に対して迅速に対応できることです。
従来のオンプレミスシステムでは、これらを実現することは困難でした。事前にキャパシティプランニングを行った上で、必要となるハードウェアやソフトウェアを調達しなければならないからです。安全性を考慮した結果、過剰なリソース投資が行われることも少なくありません。またリソースを拡張する場合には新規ハードウェアを追加する必要があるため、そのたびに社内稟議や調達が行われることになり、俊敏性も欠くことになります。
しかしGreenLakeを活用すれば、これらの問題を根本から解決できます。予備リソースを装備した状態でシステムが納品されながらも、支払うのは実際に使ったリソース量に応じた月額料金だからです。利用リソースの追加も迅速に行うことができ、長期的なリソース拡張も当初の契約の範囲内で行えるため、追加の社内稟議も必要ありません。
つまりオンプレミスでも「クラウドファースト」の目的を達成することは可能なのです。重要なことは全てをパブリッククラウドへと移行するのではなく、その恩恵を得るための最適なアプローチを採用すること。GreenLakeは企業システムの新たな挑戦に対して、より幅広い選択肢を提供するものだと言えるでしょう。
三菱ケミカルシステム株式会社様は、オンプレミスのITインフラに「使った分だけ費用を支払う」サービスを採用しました。オンプレミス環境にパブリッククラウドと同等の費用処理を適用した同社が、サービスの導入効果について語ります。
比較ガイド
HPE GreenLakeは、従来型モデルにはなかったメリットを提供します。本書では、ITが抱える運用負担を軽減する方法をご紹介します。
パンフレット
本資料では、HPE GreenLakeの詳細とビジネスにもたらすメリットについて詳細に解説します。
三菱ケミカルホールディングスグループにICTサービスを提供する同社は、150台規模の物理サーバーから構成されるプライベートクラウドのサーバー群を従量制・月額費用化しました。
事例をみる
3,000万人の顧客をもつYOOX NET-A-PORTER GROUPは、ストレージにHPE GreenLakeを利用し、最新のデジタルビジネスを推進しています。
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Kapsch BusinessCom社は、自社データセンターのストレージ更新に、HPE GreenLakeの従量制課金モデルを活用して、最新のHPE 3PARソリューションを導入しました。
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記載の社名・製品名は各社の商標または登録商標です。「HPE GreeanLakeフレックスキャパシティ」を一部 HPE GreenLakeと省略して記載しています。
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