フルクラウド化を視野に、災害時医療継続など
すべてのニーズを満たすシステム運用へ
2020年11月にATSの提案が正式に採用されると、2021年1月から構築を開始。ATS 西日本事業部 技術部 第1技術グループ 三松 結希を始めとするチームによって、わずか1カ月で構築は完了。ATSでは、服部氏率いるIT管理室の方々だけでもスムーズに既存環境からのデータ移行ができるように、詳細な手順書をまとめて提出しています。
服部氏は言います。
「この手順書が、非常にありがたかったですね。Hyper-V同士でのV2V(Virtual to Virtual)のデータ移行がとても分かりやすくまとめられていて、実際に操作してみると本当に簡単にデータを移すことができました。あまりに簡単なので移行計画を再度練り直す余裕ができ、今後の選択肢が大きく広がりました。。自分たちの手でいつでも簡単にできると思うと時間の使い方にも幅が出て、非常に気が楽でした。こうしたサポートも、ATSならではだと思います」
こうして完成した新しい仮想化基盤は、潤和会記念病院側でコントロールしているVPN回線を経由して、ATSのチームがオンラインサポートを提供。万一障害が発生した場合にもすぐに技術者がリモートでサポートする万全の体制を整えています。
さらに服部氏は、今回構築した仮想化基盤が、数あるクラウドサービスの中でもいち早く3省3ガイドラインに適応してきたMicrosoft Azureとシームレスに連携できることを高く評価しています。
「当院は河川に程なく近い立地にあり、毎年台風による水害の危険にさらされるため、サーバー管理面でどうしても脆弱な環境となってしまいます。日常でもわずか4人のIT管理室職員で、院内のPCやネットワーク、数々の医療ICTシステムをメンテナンスしていることの危うさを考えれば、物理サーバーはできるだけ外部に配置して専門家に管理を委託した方が、安全に運用できると思っています。今はまだ、さまざまな条件が揃い切っていませんが、医療ICTシステムは極力クラウド化されていくことが望ましいと考えています。そうした”将来の理想像”にも適応できる環境が実現できたことを、とても心強く感じています」