新しくなったWVD(Windows Virtual Desktop)を使ってみましょう
新しくなったWVDを使ってみましょう
( WVD: Windows Virtual Desktop )
2019年にMicrosoft社から発表された「WVD(Windows Virtual Desktop)」はご存知でしょうか?
WVDは、Microsoft社が提供するマネージドVDIサービスで、Azureの仮想マシン上で「Windows 10」や、「Office 365」のアプリ、その他のサードパーティー製アプリを実行し、リモートから利用することができるサービスです。
以前のブログ記事で紹介しましたが、WVDは「DaaS(Desktop as a Service)」の分類になります。
Microsoft社純正のWVDには、DaaSならではのメリットに加え、独自のメリットが実装されています。 さらに、構築の手軽さやセキュリティ、管理性においても「使いやすい」「十分に使える」という印象をもちました。 非常に手軽に環境を構築できますので、まずは一度使ってみて、評価してみることをお勧めします。
本記事では、WVDの特徴やユーザー接続方法について、最後にはWVD環境の構築手順についてご紹介します。
WVDの特徴
WVDは、Microsoft純正であることから他にない特徴がいくつもあります。一般的なDaaSとは異なる例としては、以下のようなものが挙げられます。
■特徴1:VDAライセンスの別途購入が不要
Windows 10仮想マシンをユーザーが利用する際には、VDA(Virtual Desktop Access)ライセンスが別途必要となります。 しかし、WVDの場合は必要な Windows または Microsoft 365 ライセンスを持っていれば、Azure の利用料だけで利用が可能です。 通常VDIの利用にあたってはVDAライセンスをはじめ各種ライセンスの構成(購入)が複雑になりがちですが、WVDの場合はシンプルに実装できるでしょう。
■特徴2:Windows 10 マルチセッション接続
Windows 10 Enterprise マルチセッション (旧称 Windows 10 Enterprise for Virtual Desktops (EVD)) は、1台の「Windows 10」仮想マシンに、複数のユーザーが同時に接続して用いることができる機能です。 1台の仮想マシンを複数ユーザーが共同利用するかたちになりますが、管理性やリソースの有効活用という点でコストメリットが期待できます。 この機能は現在WVDでしか利用が認められていない機能となります。
ユーザー接続方式
WVDではWebクライアント接続とリモートデスクトップ接続がメインになると思います。
■Webクライアントからのアクセス
Webクライアントからのアクセスは、主要なHTML5対応ブラウザーで動作します。 お使いのインターネットブラウザーから専用サイトに移動し、Microsoftのユーザーアカウントでサインインをして接続します。 この方法では、Webブラウザーから簡単にWVDリソースにアクセスできます。
Webクライアントからのアクセス
■リモートデスクトップ接続を使ったアクセス
アクセスデバイスに対応したMicrosoft リモート デスクトップ クライアント経由で仮想デスクトップにアクセスする方式になります。 この方式では、管理者側で「RDP プロパティ」の設定が可能で、「Webカメラリダイレクト」などの設定を追加することができます。 WEB会議などのアプリケーションやSaaSサービスを利用する場合はこちらの方式を利用いただくことになるでしょう。
リモートデスクトップ接続を使ったアクセス(「Windows 64-bit」版の場合)
WVD環境の構築手順
冒頭でも述べましたが、WVDの環境構築は、他のVDIと比べて非常にシンプルです。 おおまかな手順の流れは以下のようになります。
別紙にて必要最低限の手順やポイントなどをまとめていますので、詳しくはそちらを参照お願いします。
■1. WVDサービス環境の構成
- サブスクリプションプランの用意
- リソースグループの作成
- 仮想ネットワークの作成
- Azure AD Domain Servicesの作成
- ADドメインユーザーの作成
- ADドメイン管理者の設定
■2. WVDサービスの構成
- WVD – ホスト プールの作成
- WVD利用ユーザーの割り当て
- RDP プロパティ(Webカメラリダイレクト等)の設定
さいごに
DaaSを利用するメリットは、オンプレミスのサーバーの運用管理(パフォーマンス監視、障害対応、リソースの拡張やリプレース、バックアップとリストア)などの工数が大幅に削減される点が挙げられます。
一方で忘れてはならないのはDaaSサービスを採用する場合、ユーザーはインフラを所有しない「利用者」という立場である、という点です。事業者によるサービスレベルの変更やデータセンターの場所、価格、企業(事業)の統廃合による変更を受け入れなければならい状況が発生する可能性があります。
そのなかでWVDは、VDIやDaaSサービスの選択肢として注目すべきソリューションだと感じました。まずは一度使ってみて、評価してみることを強くお勧めします。
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記載の企業名、製品名は各社の商標または登録商標です。ブログ記事は掲載時点(2020年9月)における情報をもとに執筆しており、著者の意見や経験に基づく内容を含んでいます。掲載している情報の正確性について万全を期しておりますが、その内容について保証するものではありません。