長久手市役所様

αモデルを維持しつつ、
セキュアなインターネット接続環境を構築

自治体が構築するITシステムの多くは総務省が推奨するαモデル、βモデルをベースとしている。αモデルの場合、セキュリティは強固だが、システム外部のインターネットサービスやクラウドサービスが使いづらく、近年主流となる様々な外部サービスとの連携がとりづらい傾向がある。エンドユーザーに対しても負担が大きいこのαモデルを使いつつ、HP Sure Click Enterpriseを導入することでインターネット環境の最適化を実現した長久手市の取り組みを紹介しよう。
愛知県長久手市

愛知県長久手市

愛知県長久手市岩作城の内60番地1

愛知県名古屋市の東に位置し、都心のベッドタウンとして人気の長久手市。歴史の舞台となった土地として有名だが、現在は都市化が進む地域と昔ながらの田園風景が調和する、暮らしやすい地域として評価が高まっている。「長久手市は名古屋に近い西側の区域が区画整理事業により、都市化が進められました。いまでは立派な街並みになっていますが、こちらは比較的新しく作られた地域です。一方東側は依然と変わらないのどかな景色があり、人々が落ち着いて暮らすことができるためか、名古屋市のベッドタウンとして多くのみなさまに愛される市に育っていると思います」と語るのは長久手市の伊藤氏。長久手市は伊藤氏が説明するように、住みやすい街であることが理由となり、全国的にみても人口増加率が高く、住んでいる人々の年齢層も日本で一番若い地域として知られている(2020年国勢調査)。

お客様の課題
  • αモデルを維持しつつ、セキュアなインターネット接続環境を構築
  • インターネット接続環境構築後の運用にかかる工数削減と生産性向上
ソリューション
  • HP Sure Click Enterpriseおよび無害化ソリューションでエンドポイントを保護

導入成果
  • 職員に負担をかけずにインターネットが利用可能
  • 生産性を維持しつつ、自在に外部サービスと連携
  • 管理負担が少なく、人的資源を最適化
  • 業務効率化の促進で市民サービスが充実

自治体DXを促進する長久手市

長久手市がITシステムに課題を感じ始めたのは2021年に遡る。「2021年度末に、私たちの市でもDX推進計画を立て、基本方針を固めました。それまで以上に市民のみなさまによりよいサービスをお届けしたいということで、デジタルで解決できることは何か、DXチームを設置して調査することにしたのです」と当時を振り返る伊藤氏。

早速DXチームが市役所の職員らに対して調査したところ、業務改善等につながるようなアイデアが150個以上飛び出したという。「それらを整理、精査した結果、ネットワークの最適化という大きなテーマが見えてきました。中でも、クラウドサービスや検索エンジンなどを利用するインターネット活用には多くの期待が集まっていることが分かったのです」と伊藤氏。

長久手市はαモデルでシステムを運用しており、インターネット環境は使いやすいものとはいえなかった。「αモデルの中でインターネットを活用していく際の大きな課題としてセキュリティが担保しづらくなるというデメリットがあります。βモデルの移行も視野に様々なアイデアが出ましたが、どれも時間もコストも必要で、すぐにできるというものではなく、様々なシステムの比較検討をしていました」と長久手市の野田氏は語る。こうして長久手市は活用しやすいインターネット環境のためのソリューションを探していくことになった。
長久手市
市長公室 情報課
課長補佐 兼 情報政策係長
伊藤 友人 氏
長久手市
市長公室 情報課 情報政策係
主任
野田 将司 氏
アルファテック・ソリューションズ株式会社
社会公共事業部 技術部
自治体技術グループ
小嶋 孝夫 氏
アルファテック・ソリューションズ株式会社
社会公共事業部 営業部
自治体営業グループ
今津 直哉 氏

株式会社日本HP
パートナー営業統括
第三営業本部
第一営業部 主任
勝見 麻衣子 氏
株式会社日本HP
グローバルサービス・ソリューション本部
技術部
ソリューションアーキテクト
澤田 亮太 氏

POCは短期間で完了

ちょうどその頃、自治体向けソリューションに力を入れていたアルファテック・ソリューションズ株式会社(以降、ATS)は、長久手市の課題を知ることになった。「長久手市様の課題をお伺いし、このケースに最適なのはHP Sure Click Enterprise(以降、HP SCE)だと判断しました。デモを行わせていただいた結果、とてもよい感触をいただけました」と振り返るATSの今津氏。「当時、ほかのソリューションもご検討されていましたが、ちょうどタイミングよくお声がけいただけたので、HP SCEを検証していただくことになりました」とATSの小嶋氏も当時を振り返る。

「HP SCEはエンドポイントとなるクライアントPCのOS内にマイクロVMによる仮想空間を作り、その中でアプリケーションを動作させるソリューションです。そのため、電子メールの添付ファイルを使った脅威や、リンク誘導型の悪意などがあり、ユーザーがそれを開いてしまっても、アプリケーションを閉じればほかのシステムへの侵入などは行えず、無かったことにできる仕組みを持っています。ユーザーはシステムを意識することなく、いつもと同じように作業できるので、生産性も維持できる製品になっています」とHP SCEについて説明するHP勝見氏。

長久手市は特に職員の生産性を維持でき、セキュリティを高めるために負担をかけない点を高く評価。競合製品と十分な比較検討を行った上で、HP SCEのPOCを開始することにした。
「それまで使っていたセキュリティシステムのライセンスが切れる2023年3月をシステムのリプレースの期限として設けました。ほかのセキュリティソリューションと比較して、パラメーターの調整など、管理側に負担を強いることもありません。HP SCEはとてもシンプルで、検証作業もとてもスピーディーでした」と野田氏。

「2022年の12月中旬からDXメンバーも交えてPOCを開始しました。POC開始から3か月強という短期間で3月末には導入できたのですが、最終的にファイルのやり取りをさらに安全にするため無害化ソリューションと同時に導入することになりました。ですので、実際に市役所すべてに導入が完了したのが5月末ですね」と伊藤氏は語る。

「POCを経てからの導入ということで、実際のHP SCEを展開していく作業は約1か月でした。しかし、思いのほかスムーズに進み、予定通りに長久手市役所の職員の方々に展開することができました。私たちにとってもチャレンジでしたが、しっかり本番環境に合わせて検証していただいた成果が出たのだと思います」とHP澤田氏も導入の感想を語る。

こうして長久手市は既存のαモデルによる強固なセキュリティはそのままに、安心安全かつ柔軟なインターネットアクセス環境を手に入れたのだ。
全体システム構成図

様々な課題や制約から解放

現在、すべてのエンドポイントとなるクライアントPCにHP SCEを展開し終えた長久手市。「これまではインターネット閲覧システムの制約上、一度にインターネットアクセスができるのは120台に制約されていましたが、その制約も撤廃され、誰もが使いたいときに利用できるようになりました。また、ブラウジングにしても以前よりもとても軽快だと、評判は良いです」と伊藤氏は語る。

「HP SCEに付属するセキュアブラウザも良いと思います。使い勝手も良いですし、ちょっと慣れればすぐに使いこなせます。また、万が一何かあったらセキュリティログを確認することも可能です。今後の運用の面でも使っていきたい機能があるのも嬉しいですね」と野田氏は語る。

HP SCE導入に大きな手応えを感じた長久手市。今後、同市のインターネット活用はどのように変化していくのだろう。

「もちろん積極的に使われていくのだろうと思っています。長久手市で実際に使うかは議論が必要ですが、例えばチャットGPTのような新しいサービスもますます出てくるでしょう。そうしたトレンドも視野に入れつつ、業務効率化や生産性向上に向けて、さらに便利に活用してもらえればと思っています」と野田氏。

「インターネット活用を進める上でセキュアな環境づくりは必須です。今回HP SCEと無害化ソリューションでそのための環境を構築することができました。セキュリティは人だけでなくシステムで守るというのはとても大切だと考えます。この環境なら、職員たちも適切なサービスを利用できるので、よりよい市民サービスがお届けできるようになったと考えています」と伊藤氏は語る。

「長久手市のDX推進の動きはまだまだ始まったばかりです。次回はペーパーレスへのチャレンジも検討中ですので、ATS様にはそういった部分も含めて、DX推進のための情報提供やご提案を引き続きお願いできればと思っています」と語る野田氏。

「HP様にはHP SCEのような優れたソリューションの提供はもちろん、マイナンバーカードの読み取りが簡単にできるようなICリーダーとの接続環境などの周辺機器との連携ができるソリューションにも期待しています。これからもDXが促進できるような製品やサービスで自治体を後押しして欲しいですね」と伊藤氏は最後に語ってくれた。これからもATSとHPは長久手市を支えていく。
記載の会社名、団体名や製品名は各社の商標または登録商標です。
記載の内容は個別に明記された場合を除き2023年7月現在のものです。

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