株式会社ユポ様
一人ひとりのDXを工場全体の競争力強化へ
「鹿島工場DX」を支えるローコード開発とデータ活用

株式会社ユポが、製造と研究開発の中核拠点である鹿島工場のデジタル変革を加速させている。

2026年7月、同社は「株式会社ユポ」へ社名を変更するとともに、新たに“Value Co-Creator”というブランドコンセプトを掲げた。

「ユポ*」という製品のクリエイティブ素材としての可能性を追求し、お客様と共に新しい価値創造に挑む決意を示したものだ。現在取り組んでいる「鹿島工場DX」の狙いは、工場の安定的な操業を支えるスタッフの業務の効率化・高度化と、鹿島工場全体の競争力の強化である。

アルファテック・ソリューションズ(ATS)は株式会社ユポに伴走しながら、多様な業務プロセスのモダンアプリ化と工場ネットワークの最適化を推進。これを起点に、鹿島工場全体へとデジタル変革を拡大させている。

*「ユポ」は株式会社ユポが開発・提供する紙のような特徴・風合いを持つフィルム素材。

課題

課題

  • 鹿島工場の操業を支えるスタッフの業務効率化・高度化
  • スタッフ一人ひとりのDXを通じた鹿島工場全体の競争力強化
ソリューション

ソリューション

  • 紙ベースで運用していた業務手順を、スマホ・PCから利用できるDXアプリに刷新
  • 工場ネットワークを最適化し、製造ラインから収集するデータを横断的に共有・活用できる環境を構築
導入成果

導入成果

  • Microsoft Power Platformによるローコード開発により、現場ニーズを反映したアプリの短期開発と継続的な改善を実現
  • 「修理依頼アプリ」の導入により、大幅な業務効率化と情報共有を実現
  • 製造ラインから収集したデータを関係者間で即時に共有し、データに基づく改善活動を促進

個人プレーのDX から、組織活動としてのDX へ

株式会社ユポ 戦略企画本部 デジタルソリューション部 プロダクショングループでグループマネージャーを務める山﨑泰彦氏は次のように話す。

「ここ鹿島工場は、『ユポ』の製造と研究開発の中核拠点です。2023年から本格化させた『鹿島
工場DX』では、新しいチャレンジとして、工場の安定操業を支えるスタッフの業務の効率化・高度化に取り組んでいます」

工場の安定操業は、多くの部門スタッフの日々の働きがあって成り立っている。しかし、スタッフの業務には紙ベースの非効率な手順が数多く残っているという。「デジタル化することが望ましい業務を、何とか改善したい」という思いが山﨑氏にはあった。

「デジタル化により業務の生産性を高めるとともに、場内に点在しているデータをフルに活用で
きる環境を整備して業務を改善することが『鹿島工場DX』の大きな狙いです。また、その実現に
向けては、DX人材の育成やスタッフ一人ひとりのスキル向上を通じた人材育成・組織改革も会社
として重要なテーマと位置づけており、スタッフ一人ひとりのDX 活動が鹿島工場全体の競争力
強化につながると確信しています。そして、誰かがDX をリードするのではなく、全員参加・組織活動としてのDX だからこそ、より大きな成果を生み出せるのでは、と考えています」(山﨑氏)

「鹿島工場DX」では、業務のデジタル化、データ収集の自動化と統合化、データ活用の民主化に
加え、DX 活動を通じた人材育成・組織改革が目標として掲げられた。アルファテック・ソリューションズ(ATS)は、株式会社ユポに伴走しながら、多様な業務プロセスのモダンアプリ化と工場ネットワークの最適化を通じて「鹿島工場DX」をサポートしている。
株式会社ユポ  戦略企画本部  デジタルソリューション部 プロダクショングループ グループマネージャー 山﨑 泰彦 氏
株式会社ユポ 
戦略企画本部 
デジタルソリューション部
プロダクショングループ
グループマネージャー
山﨑 泰彦 氏 

株式会社ユポ  戦略企画本部  デジタルソリューション部 プロダクショングループ マネージャー 俵 寛生 氏
株式会社ユポ 
戦略企画本部 
デジタルソリューション部
プロダクショングループ
マネージャー 俵 寛生 氏

株式会社ユポ  鹿島工場 施設部 保全グループ グループマネージャー 渡邊 考司 氏
株式会社ユポ 
鹿島工場
施設部 保全グループ
グループマネージャー
渡邊 考司 氏

アルファテック・ソリューションズ株式会社 DXソリューション事業部 ビジネスソリューション部 第1技術グループ 第2チーム リーダー 柴本 直樹 氏
アルファテック・ソリューションズ株式会社
DXソリューション事業部
ビジネスソリューション部
第1技術グループ 第2チーム
リーダー 柴本 直樹 氏
アルファテック・ソリューションズ株式会社 DXソリューション事業部 ビジネスソリューション部 第1技術グループ 第1チーム 中川 猛彦 氏
アルファテック・ソリューションズ株式会社
DXソリューション事業部
ビジネスソリューション部
第1技術グループ 第1チーム
中川 猛彦 氏

紙ベースの「修理依頼カード」をアプリ化

スタッフの生産性を高められない「デジタル化することが望ましい業務」とはどのようなものか。株式会社ユポ 鹿島工場 施設部 保全グループでグループマネージャーを務める渡邊考司氏は、その象徴的な例を次のように説明する。

「工場の製造設備は24時間稼働しています。私たち保全グループのミッションは、設備の深刻な
トラブルを未然に防いで安定的な操業を維持することです。しかし、現実的には全ての事象を
未然に防ぐことは難しく、設備に何らかの不具合が発生したときには、製造部門のオペレーター
が紙の『修理依頼カード』に記入して保全グループに持ち込むのが従来のルールでした」

記入された情報の粒度がバラバラで現場に行かなければ正確な状況がわからない、過去の修理
履歴の調査が容易でなく即座に適切な対処を判断できない――保全グループでは「修理依頼
カード」による業務フローの非効率を指摘する声が上がっていたという。

「紙製のカードには紛失のリスクもありますし、修理の進捗を関係者間で共有し難いことも大きな問題です。修理依頼カードを持ち込んだ製造スタッフと、カードを受け取った保全スタッフとの間だけで対応が進んでしまうこともありました。私自身、3年前に施設部に異動してきたときから問題意識を持っていましたので、『鹿島工場DX』の一環でアプリ化の話があったときには即座に手を上げました」と渡邊氏は話す。

鹿島工場DXの支援チームとしてプロジェクトに参画したATS は、スマートフォンとPCから利用
できるモダンな「修理依頼アプリ」を、業務フローの棚卸・精査から始めてわずか3か月で開発し
た。ここではMicrosoft 365ライセンスに付属するPower Platformを活用したローコード開発が
威力を発揮したという。ATS DXソリューション事業部の柴本直樹氏は次のように話す。

「製造部門と保全グループの複数のメンバーが関与する業務フローを精査し、『修理依頼アプリ』
を設計しました。早期の段階でプロトタイプを開発し、ディスカッションを重ねながら機能とUI/
UXの完成度を高めていくアジャイル的なアプローチを採用しています。途中、組織改編に伴う
業務フローの見直しが発生しましたが、計画通りにリリースできたのもローコード開発のメリットと言えるでしょう」

渡邊氏は、「『修理依頼アプリ』が導入されて、リアルタイムで不具合状況と対応の進捗を関係者
間で共有できることや、後日対応すべき案件の失念防止に大きく寄与するメリットを関係者全員
が即座に実感しました。スマートフォンの撮影画像とともに修理依頼が届くため、装置の不具合
か操作上の間違いなのか、機械案件か計電案件なのか、といった最初の問題の切り分けが休日・
夜間の連絡でも容易になりました」と手応えを示す。

「修理依頼アプリ」は利用が始まって以降も機能改善を繰り返し、現場ニーズを反映しながら進化を続けている。「完成したアプリに人が合わせるしかない、というシステム開発の常識を変える
ことができました」とATS DXソリューション事業部の中川猛彦氏は話す。

また、株式会社ユポでは従業員にひとり1台のスマートフォンを支給したばかりだったが、「直観的に使えて業務を効率化できるアプリは、スマートフォンの業務活用の定着化にも大きく寄与している」(渡邊氏)という。

ネットワークの最適化とデータ活用の推進

工場の製造ラインは昼夜を問わず稼働しており、各設備から様々なデータが収集されている。
これらは、製品の品質安定化、歩留まり向上、設備保全などに加え、新製品開発や製造プロセスの改善にも役立てられる。株式会社ユポ 戦略企画本部 デジタルソリューション部 プロダクショングループでマネージャーを務める俵寛生氏は次のように話す。


「各部門のスタッフは各種調査活動でデータを活用していますが、必要なデータを確認するため
に該当設備まで足を運ばなければならず、負担になっています。場合によっては別の担当者に
作業を依頼しなければならず、データの収集だけでも大変な時間と手間を要しています」
このように、人手に依存したデータ収集が、必要なデータの迅速かつ横断的な活用を妨げ、改善
活動を推進するうえで大きな障害となっていることが課題であった。


「そこで私たちは、必要なデータを必要なときにすぐ活用できる環境の実現に向けて、製造設備
専用のネットワークを構築し、既存の社内ネットワークと安全に接続させることを目指して、鹿島工場ネットワークの抜本的な見直しに着手しました。本プロジェクトでもATSの全面的な支援を受けています」(俵氏)


現行のネットワークインフラは保守・メンテナンスを繰り返しており、接続構成は管理されていたものの、個々の配線の使用状況までは把握できない状態となっていた。
俵氏は「ATSには、複数回にわたる現地調査によって、遊休配線や断線箇所を含むネットワーク
の実態を詳細に解明してもらえました」と話す。ATS はその調査結果をもとに、既存設備を有効
活用しながら、最適化されたネットワーク設計と必要最小限の機器構成を検討した。


「ATSの提案のポイントは、構築したネットワークが原因で製造設備が影響を受けないよう、既存の社内ネットワークとの間にセキュリティを担保する製品を配置するとともに、将来的に製造設備を簡単に追加接続できるよう余裕のあるネットワーク設計とする、というものでした」

 

鹿島工場のネットワーク最適化は幹線の敷設までが完了し、2026年度に入り製造設備の接続
プロジェクトが進められている。今後はデータに基づく改善活動がさらに加速していくことが期待される。

株式会社ユポ様DX事例図

鹿島工場DX が示す、製造業におけるDX 活動のヒント

「鹿島工場DX」の各活動に2025年から伴走しているATS がMicrosoft Power Platform(Power Apps/Power Automate/Power BIなど)で手掛けたアプリは、DXアプリの新規開発と既存アプリのモダン化を含めすでに30本近くに達している。データ活用とDX 推進の基盤となる工場ネットワーク最適化プロジェクトも計画通り進行中だ。


「ATS のメンバーには、要件通りの仕事をこなすのではなく、要件の背景にある私たちの課題や
目標の理解に努めながら、常に高い熱量を持ってプロジェクトに臨んでもらえました。私たちが
示した難題に対しても、ただ『できません』でなく、『この方法なら可能です』と解決策を示して
もらえたので、何度も助けられました」と俵氏は振り返る。


「鹿島工場DX が、日本の多くの製造業におけるDX 活動の参考になれば」と話しつつ、山﨑氏は
次のように結んだ。
「製造と研究開発の中核拠点である鹿島工場のDX は、新たなビジネスコンセプト“Value Co-
Creator"の具現化を支えるとともに、三菱ケミカルグループの関係各社を含め日本の製造業で、
DX 活動を開始したばかりの現場が直面する課題に解決のヒントを示せるのではないかと考えて
います。ATS には、ITのスペシャリストとして引き続き私たちに寄り添った支援を期待しています」

「YUPO」、「ユポ」は株式会社ユポの日本における登録商標です。
その他、本資料に記載の会社名、団体名や製品名は各社の商標または登録商標です。
記載事項は個別に明記された場合を除き2026年9月現在のものです。

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1969年、王子製紙(現・王子ホールディングス)と三菱油化(現・三菱ケミカル)の共同出資により設立。2026年に社名を株式会社ユポ・コーポレーションから株式会社ユポに変更した。国内合成紙分野で約70%のシェアを持ち、累計世界80カ国以上でビジネスを展開している。

鹿島工場 茨城県神栖市東和田23

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