「生産財」と「消費財」の専門商社として成長戦略を推進
山善は、工作機械、産業機器、機械工具、自動化ロボットなど、世界のモノづくりを支える「生産財」と、快適で便利な住まい・オフィス環境をつくる住宅設備機器や、暮らしを豊かに彩る生活用品などの「消費財」を取り扱う専門商社である。複数の軸足を持つバランスのとれた事業ポートフォリオが同社の大きな強みだ。山善 経営企画本部 情報システム部 副部長の小西保治氏は次のように紹介する。
「生産財と消費財の『ダブルウイング』が専門商社としての山善の特徴であり、ビジネスの最前線を支えているのは、各事業分野における山善のプロフェッショナルです。彼らが豊富な経験とノウハウを活かして活躍し、お客様の多様なニーズに迅速にお応えできる環境を整えることは、情報システム部門の重要な役割のひとつです」
山善では2013年にクラウドベースのVDI 環境(DaaS)を導入し、営業部門を中心にリモートワークを推進してきた。営業チームの機動力を高めながら、エンドポイントセキュリティを強化することが狙いだ。
「DaaS は短期導入が可能でシステム運用が不要というメリットがあり、想定通りの成果が得られたと考えています。しかし、数年間利用する中でいくつか課題も浮かび上がってきました。パフォーマンス不足によるレスポンスの悪化はその最たるもので、DaaS なので私たちの意思でシステムを増強できないジレンマも抱えていました」(小西氏)
同時期に、大規模災害など予期しない事態に直面してもビジネスを継続できる仕組みを整えることが経営課題として議論されていたという。基幹業務システムを中心とするBCP 対策の具現化である。
「私たちはVDI 環境の刷新を検討する過程で、VDI システムのBCP 対策を要件に加えました。たとえ基幹業務システムの稼働が継続できても、クライアント環境がマヒしてしまってはビジネスの継続は不可能だからです」(小西氏)
BCP 対策の要件が加わった山善のVDI 環境刷新プロジェクトに、ITパートナーとして選ばれたのはアルファテック・ソリューションズ(ATS)である。ATSの提案の中心には、ハイパーコンバージドインフラHPE SimpliVity が据えられた。
ATS ハイブリッドIT 事業部の黒澤は、「年商5,000億規模の山善様では、1日ビジネスが停止するだけで数十億円の売上ダメージが発生します。私たちは、万全のBCP 対策が施されたVDI環境を実現するためにHPE SimpliVityを選択しました」と話す。