2018年盛夏、首都圏にあるメインサイトおよび関西圏にあるDRサイトにHPE SimpliVity 380 Gen10による新仮想化基盤が構築され、第1フェーズのシステム移行が計画通り完了した。押手氏の言う「最新の状態で使い続けられるインフラ」はどのように実現されたのか。アルファテック・ソリューションズのプロジェクトマネージャー 豊田武志氏は次のように説明する。
「従来の仮想化基盤運用では、無停止での増強対応・プログラム最新化が常に課題にあがります。一方、HPE SimpliVity はシステム無停止かつ容易に増設や入れ替えが可能です。コンピューティングリソースのみ増強したい場合は汎用のIAサーバーを組み込む事も可能で、柔軟な拡張性も持ち合わせています。また、各プログラムの無停止アップデートツールも準備されており、 新仮想化基盤の維持管理・拡張管理のシンプル化に大きく貢献することができます」
決済サービスのインフラでは現時点で数百台の仮想マシンが稼働しており、3年後にはおよそ1.5倍の規模になると予想されている。無停止でのリソース拡張と入れ替えが容易なHPE SimpliVity なら、増大するトランザクションに柔軟かつ迅速に対応することが可能だ。
「同じHCI による仮想化基盤でも、業務やサービスごとにサイロ化してしまっては意味がありません。私たちの提案のポイントは、HPE SimpliVity によって、サービス規模が拡大しても性能を維持しながら安定して使い続けることのできる統合仮想化基盤を実現することでした」と同社の黒澤博之氏は話す。
(プロジェクトフェーズと概要)
第1フェーズ:
・ HPE SimpliVityを用いた新仮想化基盤の設計・構築
・ 旧仮想化基盤内の優先度が高い仮想マシンを新仮想化基盤へ移行
第2フェーズ:
・ 旧仮想化基盤内の残りの仮想マシンと重要度の高い物理マシンを新仮想化基盤へ移行
・ VMware vRealize Operations 導入の設計・構築(仮想環境の運用管理ツール)
第3フェーズ:
・ HPE SimpliVity RapidDR 機能導入の設計・構築
「第1フェーズで構築した新仮想化基盤が本番稼働し、HPE SimpliVityのパフォーマンスが期待以上だったことは嬉しい驚きでした。特にオンライン決済処理のレスポンスで体感できるほどの改善が図られました。多数のサーバーマシンが単一の新仮想化基盤内で稼働して相互に通信できるため、外部接続のオーバーヘッドを解消していることに加え、オールSSDによるストレージ性能の改善も寄与しているものと分析しています」と押手氏は話す。
第2フェーズでは、旧仮想化基盤で稼働する残りの仮想マシンと重要度の高い物理マシンをすべて新仮想化基盤へ移行・統合する計画だ。統合した新仮想化基盤上で短時間に複数のサーバーマシンの構築が可能となり、PCI DSS 対応の工数削減にも寄与する。同時に進めている 仮想環境の運用管理ツール:VMware VRealize Operations の導入が完了すると、新仮想化基盤内の仮想マシンのリソース状況が可視化され、リソース割り当てとパフォーマンスチューニングの最適化はさらに進展するだろう。
「HPE SimpliVityの圧縮・重複排除機能により、第1フェーズ完了時点でデータ量を50% 程度まで削減することができました。決済システムは、万一のデジタルフォレンジック*調査に備え、大量の監査ログ出力が必要となります。圧縮効率が高いことは定常的なインフラ管理工数を削減できると共に、ストレージを有効利用でき、全体的なコスト削減が期待できます。この圧縮・重複排除機能はハードウェアアクセラレーターで処理されるため、本体のCPU に負荷をかけないこともHPE SimpliVity ならではのメリットと認識しています」と小関氏も評価する。
続く第3フェーズでは、「HPE SimpliVity RapidDR」*を活用して、関西圏にあるDRサイトのデータ保護とBCP(Business Continuity Plan /事業継続計画)をさらに強化していくという。
*デジタルフォレンジック:
不正アクセス、情報漏えいなどのセキュリティインシデントが発生した際に、コンピュータなどの電子機器に残る記録を収集・分析し、その法的な証拠性を明らかにする手段や技術の総称。
*HPE SimpliVity RapidDR:
ディザスタリカバリのプランニングと自動化をサポートする、オプションのソフトウェアツール
「HPE SimpliVityはシステム稼働中に高頻度でバックアップを取得できるため、トラブル発生時の復旧作業にかかる時間を大幅に短縮できる見込みです。また、限られたネットワーク帯域でも効率的に差分データを転送できる特長を活かして、DRサイトでの復旧オペレーションを自動化し、ワークロードを短時間で復元できるシステム環境を実現していきます」と小関氏は決意を示す。「アルファテック・ソリューションズは、HPE SimpliVityに精通しているだけでなく、インフラ全般に対して高い技術力があると実感しました。また、設計書や運用マニュアルが理解しやすいドキュメントとなっており、システム運用品質の向上が図れたため、大変満足しています」と小関氏は評価する。
最後に押手氏が次のように語って締めくくった。
「プロジェクトではネットワークの構成変更を含む仕様変更や難易度の高い課題が発生しましたが、両者で速やかに解決策や代替案の策定を行い、大きなトラブルもなく予定通りインフラの最新化と移行プロジェクトを完遂させることができました。これからも私たちのミッションクリティカルなサービス基盤の強化に協力してもらえることを期待しています」