新しい部門システムでは、「確実なデータ保護と迅速な復旧」というテーマに対しても合理的な解決がなされた。ATSが提案したのはVeeam Backup & Replicationである。富山県済生会富山病院 情報管理室 主任の嶋作英之氏は次のように説明する。
「Veeam を利用し、部門システムを構成する仮想マシン単位でイメージバックアップを取得する環境を構築しました。別筐体の物理サーバーに用意したバックアップ領域に、D2Dで自動的に バックアップを取得します。アプリケーションごとに異なるバックアップポリシーを適用しながら、手間なく確実にバックアップを取得する手順が構築できました。万一の際でも、仮想マシン単位 でのリストアおよびファイルレベルでの復元が可能なため迅速にサービスを復旧できます」
また、HPE Nimble Storageの重複排除・圧縮によって、実際に扱うデータ量は1/3以下に削減されたという。
SSIとATS は緊密に協力しながら本プロジェクトに取り組み、およそ3.5ヶ月でインフラ構築から 電子カルテ/オーダリングシステム、部門システムの導入を完了させた。SSI 技術営業部の中野 祥太氏は次のように振り返る。
「SSIでは、ATSと協力して『新版e-カルテ』『NEWTONS2』の導入規模(病床数・システム範囲・ システム数など)に応じた性能検証済みハードウェア構成を用意しています。このリファレンスを 活用して設計・導入を短期間で進めることができました」
これに対して、複数のアプリケーションを稼働させる部門システムの状況はもう少し複雑だ。
ATSの村尾氏は、「アプリケーションベンダーへのヒアリングを通じて必要なリソースを算出し、 仮想化基盤の設計に落とし込んでいきました。実装段階では、アプリケーションごとに必要なディ スクI/Oに特に注意してサイジングを行っています。HPE Nimble Storage はモデルごとにIOPS を保証しているので、容易に選定できるメリットがあります」と話す。
2019年8月に予定通り運用を開始して以降は、予兆検知だけでないHPE InfoSightの利用価値 を実感したという。
「HPE InfoSight は、HPE Nimble Storage の稼働状況や性能値、データ圧縮効果などをリアル タイムで可視化するとともに、リソース使用状況を計測しながら将来の使用量を予測できます。 リソースが逼迫する前に計画的に拡張できるので安心ですね。もっとも、重複排除・データ圧縮 の効果が期待以上なので、増設はかなり先の話になりそうです」と嶋作氏は笑顔を見せる。
ATS の船田氏は、「実効性が確認できた時点で、HPE InfoSight の適用範囲をHPE ProLiant Gen10サーバーにまで拡張する提案を差し上げたいと思っています。インフラ運用の自律化に 向けて大きく前進するものと期待しています」と抱負を語る。
「将来的には医療機関でもパブリッククラウドの活用が進んでいくと予想していますが、コストに 見合ったメリットが手に入るかは慎重に見極める必要があります」と永森氏は言う。
そして、次のように語って締めくくった。
「今回のインフラ最新化では、AIテクノロジーを利用した予兆検知に一歩踏み出すことができま したが、安定的なサービス提供を継続させるにはそれに続くヒトの働きが重要と改めて感じまし た。私たちにとっては、SSI + ATSという技術力・問題解決能力の高いチームが手に入ったことが 大きな成果のひとつと言えるでしょう。今後も継続的な支援を期待しています」