株式会社ニコン様
フラットパネルディスプレイ製造の最前線を支えるVM Essentials

ニコンが、精機事業の主力製品である「FPD露光装置」用制御ソフトウェアの開発環境を刷新した。

新たな仮想化基盤に採用されたのは、日本ヒューレット・パッカード(HPE)が2025年1月に提供を開始した「HPE Morpheus VM Essentials Software(VM Essentials)」である。

アルファテック・ソリューションズ(ATS)は、移行先と目されていた仮想化ソフトウェアのライセンス体系変更・コスト上昇により、計画の見直しを余儀なくされたニコンをサポートし、VM Essentialsの導入と既存環境からの移行を成功に導いた。

課題

課題

  • FPD露光装置向け制御ソフトウェアの開発基盤最新化
  • 新旧ソフトウェア資産の保護と新旧開発環境の維持
  • 仮想化ソフトウェアのライセンスコスト上昇を回避する製品選定
ソリューション

ソリューション

  • ソケット課金で利用できるVM Essentialsを採用しライセンスコストを抑制
  • 既存のHyper-VからVM Essentialsへの移行をATSが万全にサポート
導入成果

導入成果

  • 仮想化ソフトウェアにかかるコストを1/5に抑制
  • ソフトウェア資産の保護とソフトウェア開発環境の維持を実現
  • 延長可能なVM Essentialsの5年サポートにより長期にわたる運用が可能に

「光利用技術」と「精密技術」の集大成

ニコンの事業領域は、映像、ヘルスケア、インダストリー、デジタルマニュファクチャリング、精機まで多岐にわたる。これらはすべて、光を自在にあやつる「光利用技術」、ナノメートルの精度で制御する「精密技術」という同社のコア技術の上に成立している。精機事業本部 FPD装置事業部 第二開発部 第二開発課長の奈良部毅氏は次のように話す。

「精機事業本部が手掛ける半導体露光装置、フラットパネルディスプレイ(FPD)露光装置は、ニコンの光利用技術と精密技術の集大成とも言える製品です。24時間365日の連続稼働を数年から十数年単位で持続させながら、私たちの暮らしや社会に欠かせない半導体やデジタルデバイスの生産に貢献しています。いずれも超高精度かつ超大規模なリアルタイム制御システムという性格を持ち、制御ソフトウェアの重要性は高まる一方です」
ニコンのFPD露光装置は、最大で約3メートル幅のガラスプレートにナノ~マイクロメートルの精度で電子回路を高速に焼き付ける。65インチ、75インチといった大型パネルを高効率に量産できること、露光を何度も繰り返す有機ELパネルの製造でも高い精度を維持できることにニコンの強みがある。

「FPD露光装置は、モーション制御、同期制御、位置合わせ、誤差補正など様々な役割を担う制御ソフトウェアを搭載しています。私たちは、2025年10月にFPD露光装置向けのソフトウェア開発基盤を最新化しました。移行先と目されていた仮想化ソフトウェアのライセンス体系変更、大幅なコスト上昇により計画の見直しを余儀なくされましたが、ATSのサポートにより新環境への移行を果たすことができました」(奈良部氏)

ニコン 精機事業本部 FPD装置事業部が採用したのは、HPEが2025年1月に提供を開始した仮想化ソフトウェア「VM Essentials」だった。
株式会社ニコン  精機事業本部 FPD装置事業部  第二開発部 第二開発課長  奈良部 毅 氏
株式会社ニコン 
精機事業本部 FPD装置事業部 
第二開発部 第二開発課長 
奈良部 毅 氏 

株式会社ニコン  精機事業本部 FPD装置事業部  第二開発部 第二開発課 村井 建壮 氏
株式会社ニコン 
精機事業本部 FPD装置事業部 
第二開発部 第二開発課
村井 建壮 氏

アルファテック・ソリューションズ株式会社 エンタープライズ事業部 営業部 第2営業グループ 第2チーム 和泉 俊一 氏
アルファテック・ソリューションズ株式会社
エンタープライズ事業部
営業部 第2営業グループ 第2チーム
和泉 俊一 氏

アルファテック・ソリューションズ株式会社 エンタープライズ事業部 技術部 第4技術グループ 横尾 純平 氏
アルファテック・ソリューションズ株式会社
エンタープライズ事業部
技術部 第4技術グループ
横尾 純平 氏
アルファテック・ソリューションズ株式会社 エンタープライズ事業部 技術部 第1技術グループ 第1チーム 大坂 祐輔 氏
アルファテック・ソリューションズ株式会社
エンタープライズ事業部
技術部 第1技術グループ 第1チーム
大坂 祐輔 氏

仮想化ソフトウェアのライセンスコストを1/5に

仮想化ソフトウェアをとりまく環境の変化により、多くの企業が困難に直面している。VM Essentialsは、まさにそうしたタイミングで日本での提供が始まった。開発環境の整備を担当するニコン 精機事業本部 FPD装置事業部 第二開発部 第二開発課の村井建壮氏は次のように話す。

「液晶パネルや有機ELパネルの製造ラインでは、FPD露光装置が10年以上使われるケースは珍しくありません。製造対象となるパネルの仕様が変わるごとに制御ソフトウェアをアップデートするようなニーズは非常に長期に及ぶため、現行製品・旧製品のソフトウェア改修を安全に行える環境が不可欠です。私たちは、コスト要件に加え、新旧ソフトウェア資産の保護と新旧開発環境の維持という要件にも応える仮想化製品として、VM Essentialsを採用しました」

VM Essentialsは、HPEが2024年に事業統合したMorpheus Data社の技術を継承したKVMベースの仮想化ソフトウェアである。ライブマイグレーション、HA、スナップショット、バックアップ、多彩なストレージ接続など、多くの企業が利用している必要十分な機能を標準で備えている。「ソケット課金」を採用しているため、メニーコアCPUを採用することでライセンスコストを効果的に抑えることができる。

奈良部氏は、「VM Essentialsは、当初検討していた製品との比較でライセンスコストを1/5に抑えることができます。これにより、予算内で新しい開発環境を整備できる見通しが立ったのです」と話す。

ATSはいち早くHPEが主催する共同検証プログラムに参加し、VM Essentialsの機能や動作に関する知見を獲得してきた。ATS エンタープライズ事業部 営業部の和泉俊一氏は次のように話す。

「ニコン様の開発環境最新化の要件は大きく2つ。①仮想化ソフトウェアのライセンスコスト上昇を回避する製品選定、②新旧ソフトウェア資産の保護と新旧開発環境の維持 です。私たちが提案したVM Essentialsは、これらの要件を満たすニコン様に最適なソリューションでした」

Hyper-VからVM Essentialsへの移行を支援

従来の開発環境は、Hyper-Vによる仮想化基盤上に整備され長年にわたり運用されてきた。ATSはVM Essentialsによる新しい仮想化基盤を構築するとともに、Hyper-VからVM Essentialsへの安全な移行をサポートするなど、奈良部氏、村井氏らに寄り添ったサービスを提供した。ATS エンタープライズ事業部 技術部の横尾純平氏は次のように話す。


「私たちは、ATS社内に構築したVM Essentialsの検証環境を用いて、ニコン様が必要とする新旧ゲストOSが正常に稼働するかを確認していきました。既存環境ではハイパーバイザーのバージョンが2種類、仮想マシンのゲストOSが3種類稼働していましたので、計6パターンの仮想マシンに対して正常稼働を確認し、それぞれ新環境への安全な移行手順を確立しました」


VM Essentialsの管理ツールVME Managerは、他の仮想化ソフトウェアからの移行を自動化する機能を備えているが、この時点ではHyper-Vはサポート対象外だった。ATS エンタープライズ事業部 技術部の大坂祐輔氏は次のように話す。


「Hyper-VからVM Essentialsへの移行では、仮想ディスクのイメージ変換、VM Essentialsへの登録、必要なドライバー類のインストールなどが必要です。検証作業を通じて得られた知見を活かして、ニコン様の移行を万全にサポートしました」


横尾氏、大坂氏は、VM Essentials共同検証パートナープログラム内のコミュニティにおいて「VM Essentials Question Star Award」を受賞した、ATSにおけるVM Essentialsエキスパートチームのメンバーである。


「私たちはATSのサポートを受けながら、ATSが作成した手順書に沿って実際にいくつかの環境で移行手順を試しました。こうした作業を通じて、新しい仮想化基盤を私たち自身で運用していく上で欠かせない知見が得られたと思います」と村井氏は話す。

ATS_株式会社ニコン様_導入事例_新旧OS・新旧開発環境を稼働

FPD事業の新たな成長を支える開発環境へ

精機事業本部 FPD装置事業部では、VM EssentialsとHPEインフラ製品(HPE ProLiant DL360 Gen11サーバーおよびHPE MSA1060ストレージ)による仮想化基盤の構築を完了し移行作業を進めている。ATSはVM EssentialsとHPEインフラ製品に精通したSIerとしての実力を存分に発揮した。村井氏は次のように話す。


「私たちにとって『保守の一本化』も大きなメリットです。VM Essentialsソフトウェアから、サーバー、ストレージまで、開発元であるHPEから包括的な保守サービスが提供され、責任を持って問題解決に取り組んでもらえるため、安心して新環境を運用することができます」
奈良部氏も、「コストを抑えながら10年以上前のソフトウェア資産や開発環境を守る、という困難な要件に、試行錯誤を重ねながら最良の道筋をつけてくれたATSに感謝しています。私たちの目標を正しく理解して、課題解決に力を注いでくれるパートナーの大事さを改めて認識しました」と続けた。


ニコンが2026年5月に発表した「2026-2030年度中期経営計画」では、2030年度の売上収益1兆円、営業利益800億円という目標が掲げられた。中でも精機事業のビジネス成長にかかる期待は大きい。奈良部氏は次のように結んだ。


「FPD露光装置の根幹を支えるソフトウェア資産と開発基盤は、VM Essentialsによって安全に新しい環境へと継承されました。私たちはVM Essentialsを5年ライセンスで導入しましたが、さらにその先までFPD事業を支えてくれることを願っています。本番稼働を迎えるにあたり、ATSに期待することは『これまで通りサポートしてほしい』ということだけです。私たちはATSの仕事を信頼していますし、長年にわたる実績を高く評価しています」

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“光の可能性に挑み、未来を変える”――ニコンは、コア技術である光利用技術と精密技術をベースに、映像事業、精機事業、ヘルスケア事業、インダストリー事業、デジタルマニュファクチャリング事業をグローバルに展開し、暮らしと社会を支える製品・ソリューションを提供している。

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