三重県庁様 導入事例

三重県の行政DXを加速させる
モダンなコミュニケーション基盤の実現

2023年7月末、三重県が満を持して「三重県DX推進基盤」の運用を開始した。デジタル化の推進により業務の生産性を高め、県民に寄り添った行政サービス提供を支え、将来のデータ活用とデジタル変革への挑戦を担う新しい基盤システムの誕生である。三層分離のネットワークも従来の「αモデル」から「β’モデル」へ移行し、多様なクラウドサービスを柔軟かつ快適に利用できる環境が整えられた。アルファテック・ソリューションズは、Microsoft 365を中心とする「コミュニケーション基盤」の設計・構築・移行・運用をトータルにサポートしている。

三重県

県庁 三重県津市広明町13

紀伊半島の太平洋側に位置する三重県は、中京圏・関西圏とのアクセスが容易であり、人口10万人を超える市を多数
擁している。南北約170kmという細長い地形を持ち、志摩半島から熊野灘に至るリアス式海岸、「近畿の屋根」と呼ばれる
紀伊山地など、美しく豊かな自然にも恵まれている。伊勢神宮、熊野古道、海女、伊賀忍者、伊勢海老、松阪牛、赤福、
賢島、真珠など、県を象徴するイメージも数多い。

お客様の課題
  • 三層分離αモデルに起因するインターネット接続環境の改善
  • 庁内システムの利便性向上
  • デジタル化による業務の生産性向上、新たなデジタル変革へのチャレンジ
ソリューション
  • クラウドシフトによるモダンなコミュニケーション基盤の実現

  • ゼロトラストセキュリティを利用した安全なインターネット接続とクラウドの活用

導入成果
  • Microsoft 365を採用し、グループウェア、メールシステムの利便性を向上
  • チャットツールやオンライン会議が、コミュニケーション活性化とテレワークの定着化に寄与
  • 三層分離β’モデルへの移行により、快適で利便性の高いインターネット接続とクラウド活用を実現
  • 業務のデジタル化と生産性向上、将来のデータ活用とデジタル変革への挑戦が可能な基盤を整備

「みえデジプラン」に基づくDX 推進基盤の整備

三重県は、近畿地方に位置し、北勢、中勢、南勢、伊賀、東紀州の5地域からなる。南北に伸びる県の北部には中京工業地帯の一翼を担う四日市市を擁し、自然豊かな南勢・東紀州地域は伊勢神宮や熊野古道のある観光地として知られる。三重県 総務部 デジタル推進局 デジタル改革推進課 副課長の岡本悟氏は次のように話す。

「亀山市がリニア中央新幹線の駅候補として名乗りを上げるなど、三重県は更なる発展を目指して様々な施策を打ち出しています。2022年12月には『みえのデジタル社会の形成に向けた戦略推進計画(みえデジプラン)』を策定し、暮らしのDX、しごとのDX、行政のDX の3軸でデジタル変革に着手しました」

岡本氏の所属するデジタル推進局は、「行政のDX」における本計画の実行役を担っている。そのミッションは、行政手続のデジタル化、DX 人材の育成、データ連携・利活用の実現、デジタルコミュニケーションの推進、業務プロセス改革など広範に及ぶ。

「2022年10月に『三重県DX 推進基盤』の整備に着手し、2023年7月31日から運用を開始しました。本システムは、行政のDXを実現するための ①モダンなクラウドアプリを利用できるコミュニケーション基盤、②柔軟で多様な働き方を実現する情報セキュリティ基盤、③データに基づく政策立案等を支援するデータ活用基盤 から構成されます。紙ベースの業務をデジタル化(デジタイゼーション)し、業務プロセスの高効率化(デジタライゼーション)を進め、県民にとって価値の高い行政サービスを創造(デジタルトランスフォーメーション)していくための基盤となるものです」(岡本氏)

本プロジェクトをリードしたのは、NTT西日本の100%子会社であり、ICT分野に特化したサービスを提供するNTTビジネスソリューションズである。同社三重ビジネス営業部 エンタープライズビジネス営業部門 ソリューション担当課長の櫻井秀樹氏は次のように話す。

「三重県情報ネットワークや、三重県統合認証管理基盤の構築・運用を通じて培ったノウハウをフルに活用してプロジェクトに臨みました。私たちの提案のポイントは、『行政を支える信頼性』を備えたDX 推進基盤の実現です。新しいテクノロジーを採用するにあたってのフィジビリティ(実現可能性)にも徹底的にこだわりました。コミュニケーション基盤の構築におけるMicrosoft 365導入にあたり、豊富な実績があるアルファテック・ソリューションズと共に取り組んでいます」
三重県 総務部 デジタル推進局
デジタル改革推進課
副課長
岡本 悟 氏
三重県 総務部 デジタル推進局
デジタル改革推進課
情報基盤班 班長
杉山 幸嗣 氏
三重県 総務部 デジタル推進局
デジタル改革推進課
情報基盤班 主幹
長井 新 氏
NTTビジネスソリューションズ株式会社
三重ビジネス営業部 
エンタープライズビジネス営業部門 
ソリューション担当課長
櫻井 秀樹 氏
アルファテック・ソリューションズ株式会社
社会公共事業部 技術部
自治体技術グループ
サブマネージャ
内山 創一朗 氏
アルファテック・ソリューションズ株式会社
社会公共事業部 技術部
自治体技術グループ
テクニカルセールスアドバイザー
小林 華子 氏

コミュニケーション系システムを抜本的に見直し

三重県では、2018年3月に、自治体情報セキュリティ対策のために「マイナンバー系」「LGWAN接続系」「インターネット接続系」の三層でネットワークを分離した。三重県が採用したのは、多くの自治体と同様αモデルによる対策だった。

「αモデルは、LGWAN接続系に庁内システムや業務PCを配置し、仮想デスクトップ(VDI)を介してインターネットに接続することで庁内側のセキュリティを確保します。しかし、Webサイトの参照などのレスポンスが悪く、県民からの問い合わせに即座に対応できないような事象が発生していました。新しいコミュニケーション基盤の整備では、この問題を一掃するために、αモデルからβ‘モデルへ移行してインターネット接続の利便性を高め、クラウドアプリケーションを柔軟に利用可能にすることに加え、テレワーク機能の強化を要件としました」(岡本氏)

β‘モデルでは、インターネット接続系におけるログ監視やエンドポイントセキュリティの強化などが必須だ。三重県では、これに加えてクラウドセキュリティやテレワークの強化に取り組むため、ゼロトラストの考え方を取り入れた新たな「情報セキュリティ基盤」を整備する必要があった。

「こうした中、新しいコミュニケーション基盤の中核システムとして提案いただき、採用に至ったのがMicrosoft 365です。全庁ポータル/グループウェアを最新化するとともに、庁内・庁外向けに分かれていたメールシステムの統合を進めています。オンライン会議を活用したテレワーク・在宅勤務の定着化、チャットツールによるコミュニケーションの活性化、さらに、将来のBYODを見据えた環境構築もMicrosoft 365導入の大きな狙いです」と総務部 デジタル推進局 デジタル改革推進課情報基盤班 班長の杉山幸嗣氏は話す。
三重県DX推進基盤の全体像
三重県DX推進基盤の全体像

職員7,500ユーザー向けにMicrosoft 365を導入

アルファテック・ソリューションズは、NTTビジネスソリューションズとともに、三重県職員7,500ユーザーが使うMicrosoft 365環境の設計・導入・移行・運用をトータルにサポートした。同社 社会公共事業部 技術部 自治体技術グループ サブマネージャの内山創一朗氏は次のように話す。

「Microsoft 365の導入に際しては、Azure ADの新設、Azure AD Connectを利用したオンプレミスADとの連携を起点に、アカウントやセキュリティグループの設計、アクセス制御の設定などを入念に進めていきました。バックエンドでは、これまでに培ってきたオンプレミスとクラウドの知見を活かしながら、運用段階を考慮した設計を行っています」

三重県、NTTビジネスソリューションズ、アルファテック・ソリューションズの3者は緊密にコミュニケーションを図りながら仕様・ポリシーを精査し、着実にMicrosoft 365環境の設計・構築へ反映させていった。

「Microsoft 365導入における難関はフロント側にありました。県職員が日々の業務で活用する全庁ポータルのSharePoint Online への移行に際して、既存のグループウェアで作り込まれた機能をどこまで再現するか、SharePoint の機能に合わせて利用法を見直すべきか――様々な意見が交錯する中で最適な着地点で合意するために、アルファテック・ソリューションズをはじめプロジェクトチーム全員に尽力いただきました」(杉山氏)

アルファテック・ソリューションズのサポート範囲は、Microsoft 365の導入とそれに必要なAzureADやMicrosoft Intune などのバックエンド環境の整備、SharePoint OnlineやExchange Onlineのカスタマイズ、データやメールボックスの移行、ユーザー向けトレーニング、利用ガイドや運用マニュアルの整備、ヘルプデスクの支援まで広範に及んだ。Microsoft 365環境の設計から構築、移行、運用支援までトータルにサポートできることに、アルファテック・ソリューションズの強みがある。

「Microsoft 365が備えるツールを利用すれば、標準機能として用意されていない機能でも追加開発できます。本プロジェクトでは、SharePointによる全庁ポータルから利用できる階層型アドレス帳を、ローコードツールPower Appsを利用して短期間で開発するなど、可能な限り県職員の方の声にお応えしました」(内山氏)

提案時のプリセールスとユーザートレーニングを担当したアルファテック・ソリューションズの小林華子氏は次のように振り返る。

「県職員様向けに、オンサイトとオンラインで計3セッションからなるトレーニングを実施しました。使用した教材と録画は、いつでも参照できるよう全職員に公開しています。新しいアプリケーションの使用感は概ね好評で、すぐに受け入れていただけたように感じています」

新たなチャレンジから着実に成果を生み出す

三重県DX推進基盤は、みえデジプランで描かれたDXを具現化するために重要な役割を果たしていくことになる。「コロナ禍において庁内業務のデジタル化の遅れを痛感させられた」(岡本氏)という状況も打開に向けて目覚ましい前進を遂げている。

「クラウドサービスの活用によるコミュニケーションの活性化も、これから本格化するデータ活用へのチャレンジも、データやシステム、デバイスを安心・安全に扱える『情報セキュリティ基盤』の整備があってこそ可能になるものです。私たちは、SASE(Secure Access Service Edge)製品を軸に、Azure ADやMicrosoft Intune、EDRなど複数の製品を組み合わせ、三重県としてのゼロトラストセキュリティを目指しました」と総務部 デジタル推進局 デジタル改革推進課 情報基盤班主幹の長井新氏は話す。

コミュニケーション基盤、情報セキュリティ基盤、データ活用基盤は三位一体で捉えるべきであり、3つの基盤整備を三重県のネットワーク/セキュリティに精通したNTTビジネスソリューションズが統合的に担ったことが、プロジェクト成功の大きな要因と言えるだろう。岡本氏は次のように結んだ。

「三重県DX 推進基盤の整備で掲げた目標は、計画通り達成されつつあります。業務のデジタル化、システムのクラウド化をここまで大規模に推進した例は過去にないと思います。プロジェクトでは様々な難題に直面しましたが、全員が強い意思を持って解決に取り組んでくれたことに感謝しています。アルファテック・ソリューションズには、Microsoft 365と関連領域の高い技術力と実行力を存分に発揮していただきました。今後も継続的な技術支援を期待しています」
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記載の内容は個別に明記された場合を除き2023年10月現在のものです。
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