ATS が提供する「ピタッとキャパシティ for PC」は、企業向けPCのライフサイクル全体をサポートする充実したサービスを提供するとともに、PC 本体と導入・運用・保守にかかるコスト全体を「月額費用化」できるメリットが評価されて、大手から中堅・中小まで幅広い企業から支持を伸ばしている。ATSの三浦依莉氏は次のように説明する。
「PCの調達を起点に、マスターイメージの作成、現地作業を最小化するための事前準備、現地での導入支援、日常的な運用・保守まで、ハイモ様の要件に合わせて『ピタッとキャパシティ for PC』のサービスメニューをカスタマイズしてご提案しました。私たちが特に重視したのは、情報システム部の方々が、エンドユーザーからの問合せに翻弄させられないための仕組みです。そのために『カスタマーポータル』を用意し、ATS が問合せへの一次対応と問題切り分けを行う体制を整えました」
ATSでは数百~数万台規模のPC 運用支援体制を整えており、Webブラウザから直感的な操作で扱えるカスタマーポータルの整備・運営においても豊富なノウハウを持つ。椎谷氏はATSの提案を次のように評価する。
「エンドユーザーからの問合せに対して、ATS が一次対応と問題切り分けを担うという提案は非常に魅力的でした。アプリケーション開発元に問合せるべき問題か、ハードメーカーに修理依頼すべきかといった判断も任せられるため、初動が早くなり問題解決のスピードを高められます。私たち情報システム部の業務負荷も大きく軽減できると考えました」
尾崎氏は、マネジメントの視点から、「PCを使い続ける期間中の総コストを月額費用化」できるメリットを次のように評価する。
「これまでのPC導入ではどうしても初期コストが大きく突出してしまいましたが、『ピタッとキャパシティ for PC』では、ハードウェアから各種サービスまで、PC を使い続ける期間中の総コストを『4年間・48か月で均等払い』が可能です。コストが正確に見通せるため計画が立てやすく、不確実性が高まる時代においてリスク分散の観点でもメリットがあると考えました」
ハイモが、ATSの支援を受けて全国13拠点へのWindows 11機の本番導入に着手したのは2024年10月である。ハイモとATS はこれに先立ってパイロットテストを実施し、入念に課題を洗い出しながら準備を進めた。ATS 側でプロジェクトをリードした平木陽介氏は次のように振り返る。
「2024年初頭よりマスターイメージの作成に着手し、導入プロジェクトを正式に開始したのは5月です。まず、情報システム部に5台のWindows 11機をテスト導入して、キッティングで対応すべき作業範囲と、社内LAN に接続した上で現地作業が必要な範囲を確認していきました。現地作業を可能な限り絞り込むことで、新機種への入れ替えをスムーズに進めることを目指しました」
ハイモ情報システム部のメンバーとATSの現地対応チームが協力し、本社、工場、研究所、営業所への導入が順次進められた。管理本部 情報システム部の菊田真歩氏は次のように話す。
「PC 本体とネットワークの設定に加え、プリンタードライバーのインストールなど既存PCと同じ使用環境を再現し、基本操作に関するレクチャーも行いました。ATS側の作業が時間を前倒して進めてもらえたおかげで、エンドユーザーを手厚くサポートすることができたと思います」
管理本部 情報システム部の高木祐太氏は、「どれだけ入念に手順を確認しても、現場では予期しないことが起こるものです。私たちは、パイロット導入で確認した手順を忠実に再現することで、ほとんど手戻りなく導入を進めることができました。ATSチームの作業の手際の良さにも大変助けられました」と続けた。
ATSは、様々な規模の企業のPC 運用支援で15年以上の実績があり、最大規模のユーザー企業では4万台のPC運用をサポートしている。ATSの福島幸司氏は次のように話す。
「ATSは、PCLCM における長年の経験から、効率的な導入手順や留意事項に関する知見を持っていますが、お客様の環境や体制によって最適解は大きく変わります。事前のヒアリングと要件の確認を経て、パイロットテストで課題を把握し、現地作業に入ってからも必要あれば柔軟に軌道修正して対応できることがATSチームの強みだと思っています」
ハイモの新PC 導入と新しいサポート体制への移行に際して、ATS が提供した主なサービスは広範に及ぶが、すべてが「ピタッとキャパシティ for PC」で網羅され月額費用モデルで提供されている。
「ピタッとキャパシティ for PC」のサービス全体像
2025年1月、ハイモのWindows 11環境は計画通り全社で運用を開始した。ユーザーが新しいOSやアプリケーションに慣れるまで、情報システム部への問合せは急増したが、「カスタマーポータル」を起点とするATSの運用支援サービスが情報システム部の負荷軽減に大きく貢献した。
「カスタマーポータルでは、エンドユーザーがチャット形式で相談や問合せが可能です。要求はチケットとして管理され、やり取りされた内容は履歴として残りますので、情報システム部の誰が対応を引き継いでも適切に対処できます」(椎谷氏)
電話やメール、Teamsなどからの問合せも、ATSが代理起票してポータルに登録する運用手順が整えられた。
「問合せ窓口がカスタマーポータル中心に変わり、ATSが一次対応と問題の切り分けを担うことで、情報システム部員がユーザーへの回答やトラブルシューティングに振り回されることなく、落ち着いて対応できるようになりました。PC に関わることなら、ユーザーからの問合せを情報システム部で調査せずに、ATSへまず投げればよいので、私たちの業務負荷は大幅に軽減されました」
カスタマーポータルには資産管理台帳も統合され、今後はライセンス管理・契約管理業務も効率化されると期待されている。プロジェクトを振り返って尾崎氏は次のように結んだ。
「月次の運用報告会では、現状報告に加えて、PCの安定運用をより効率的に行うためのアイディアや提案を受け取っています。ATSのチームと一緒に改善に取り組むことで、情報システム部の働きと成果をいっそう高めていけるものと期待しています。4年後のPC更新に際しては、最新のテクノロジーを戦略的に活用して運用を進化させ、より大きな価値を創造してもらえることを願っています」