「第4世代仮想化基盤」へのシステム統合は、第1期を2024年4月に完了させ、現在、第2期(2025年4月予定)と第3期(2025年10月予定)に向けた準備が進められている。システムアーキテクチャを統一して運用負荷を低減するとともに、仮想化基盤のサポートをATSに集約することで保守コストも削減していく計画だ。
「システムを構成する機器・コンポーネントの削減は、運用性と保守性の向上にダイレクトに結びつきます。ハイパーコンバージドインフラHPE SimpliVityへの統合により、3Tier環境でありがちなサーバーとストレージのサポート期間の違いや、ストレージ製品の最新ファームウェアにSANスイッチが対応できないといったミスマッチを解消することで、運用のシンプル化に大きく寄与します」と黒澤氏は強調する。
「第4世代仮想化基盤」は、HPE SimpliVityとバックアップシステムという非常にシンプルな基本構成となった。Cohesity SmartFilesによりNAS 環境が整備され、Veeam Backup&Replication がバックアップ運用を担う。ATSのインフラエンジニア横尾純平氏は次のように話す。
「HPE SimpliVityの筐体内で高速にバックアップを取得し、BCP 対策を強化するためにCohesity上で多重にデータを保護しています。Cohesityクラスターには、第4世代仮想化基盤の完成時を見通してハードウェアリソースをあらかじめ確保しておき、システム統合の進捗に合わせてストレージ容量を増やす方式をご採用いただきました。Cohesityは1TB単位でライセンスを追加してオンデマンドで拡張できるため、過剰な先行投資を抑制しながら常に最適なストレージ容量でご利用いただけます」
一般に、データ圧縮と重複排除が使えるストレージ環境はサイジングが難しい。システム運用を担当する経営管理本部 情報システム部 インフラ課の戸嶋隆志氏は次のように話す。
「Cohesity なら想定以上にデータ削減が効いて容量を余らせてしまう事態を回避しながら、ムダのないNAS環境を実現できます。また、既存環境で利用してきたVeeamを継承することで、手順を変えることなく第4世代仮想化基盤のバックアップ運用が可能になりました。3つのシステム移行が完了する来年度には、運用対象となるシステムがひとつに集約されますので、運用負荷が大幅に削減されることは間違いありません」
山善が構築した「第4世代仮想化基盤」において、インフラコスト削減に寄与した要素は幅広い。
- ハイパーコンバージドインフラHPE SimpliVity への3システム統合で物理機器台数およびコストを削減
- オンプレミス環境を単一のシステムアーキテクチャに集約し運用負荷を低減
- 容量が必要になった時点でCohesityのライセンスを追加し、NAS への過剰な先行投資を抑制
- 仮想化基盤サポートをATSに集約し保守コストを削減
- HPE GreenLakeによりハードウェア/ソフトウェアを費用化・オフバランス化
- 初期投資を抑制しシステムのライフサイクル全体でコストを平準化
- HPE GreenLakeの従量制を活用しレガシーシステムを終息させた分の月額費用を削減
「私たちがインフラ整備を行う上で重視しているポイントは、総コスト、運用管理性、システム性能の3つです。私たちが採用した『HPE SimpliVityをHPE GreenLakeによる月額従量制で利用するモデル』は、この3つの評価軸で最高のスコアと評価しています。近年、クラウドの活用が進む過程で、システム性能の優位性、運用やセキュリティへの自社ポリシーの適用のしやすさなど、オンプレミスのメリットを改めて認識する機会が増えています。今回のプロジェクトを通じて、山善に最適なハイブリッド環境を追求していくことが私たちの使命であるとの思いをいっそう強くしました」と薄井氏は話す。
インフラ領域におけるATSの技術力には定評があるが、山善に対してはより幅広いソリューションで貢献している。これまでの経緯を振り返りつつ薄井氏は次のように結んだ。
「第4世代仮想化基盤の整備によって、理想的なハイブリッドクラウド環境に大きく近づくことができます。ATSとは10年近いお付き合いになりますが、Microsoft 365の全社導入、Exchangeの移行、VDI 環境の整備など、様々な支援を通じて確かな信頼関係が築かれてきました。現在は、Power Automate によるRPAの実装、DX 人材の育成面でも知見を提供してもらっています。今後は、インフラ領域に限らず、DX のITパートナーとしても私たちを支えてもらえることを期待しています」