大阪市中央区道修町3-2-10
1678年に大阪の道修町で「たなべや薬」の製造販売業を開始。以来、日本の医薬品産業発祥の地である道修町に本社を置き、MISSION「病と向き合うすべての人に、希望ある選択肢を。」を掲げ、医療用医薬品を中心とする革新的な医薬品の創製を通じて広く社会に貢献している。




既存データセンターの3Tier仮想化基盤から、別サイトに新設されたNutanix/HPE ProLiant DXによる「創薬系仮想化基盤」への移行はオンラインで安全に実施された。その手順について、ATS エンタープライズ事業部 技術部の根本隆作氏は次のように説明する。
「ATSで豊富な実績のある『Nutanix Move』を活用して、ハイパーバイザーの移行、インフラ移行、データセンター移行を同時に実行しました。まず仮想マシン単位で新旧環境をオンライン同期させ、同期が完了した時点で新システムに切り替えるシンプルな手順です」
Nutanix Moveでは、異なるハイパーバイザーからNutanix AHVに移行するに際して、必要な変換処理を自動的に実行できる。
「オンラインでの同期・移行にあたっては、WAN帯域の確保や実施スケジュールの調整、アプリケーションチームとの連携に慎重を期しました。結果として、VMwareからNutanixという異なるテクノロジー間での変換・移行をスムーズに進めることができました。VMwareのライセンス体系変更に伴う諸問題も回避できる見通しです」と高橋氏は話す。
異なるハイパーバイザー間での安全な移行手順が確立されているNutanix/HPE ProLiant DXは、オンプレミス/ハイブリッド環境における理想的な選択肢として市場での認知が固まりつつある。
「移行先のNutanix AHVやNutanix Moveを無償で利用でき、ベンダー変更に要するコストを抑制できたこともポイントです。計画通り移行を完了しデータセンターを撤廃できれば、目標通りのコスト削減を達成できるでしょう」(高橋氏)
製薬業界では、GMP(Good Manufacturing Practice)やGCP(Good Clinical Practice)などの「GxP規則」に従い、システムが適切に動作することを証明(バリデーション)することが法令により定められている。ATSの小林氏は次のように話す。
「創薬系仮想化基盤の構築にあたっては、データの改ざん防止、監査証跡の記録、個人認証、システムの文書化などを規定した『21 CFR Part11』への対応が必須でした。ATSでは、本プロジェクトを通じてバリデーション対応の重要性・有用性を改めて認識し、プロジェクトチームを中心に知見の獲得を進めるとともに、その後は経営層の合意のもと全社で均質なバリデーション対応が可能な体制を整えています」
本プロジェクトは第4期までのシステム増築を終え、2026年末のデータセンター撤廃を目指して計画通り進んでいる。高橋氏はプロジェクトが順調に進められている要因を次のように分析する。
「インフラ領域の専門家であるATSが、バリデーション対応やアプリケーション領域の課題など、良い意味で自社の業務範囲を越えて対応してくれたことが大きな成功要因だと思います。会社間の壁を意識させず、『ひとつのプロジェクト』として目標に向かって取り組んでもらえたことに感謝しています」
田辺三菱製薬は、2025年12月1日より田辺ファーマとして生まれ変わる。研究開発型創薬企業として更なるグローバルでの発展に向けたチャレンジは続く。高橋氏は次のように結んだ。
「NutanixとHPE GreenLakeを組み合わせるATSの提案は、『クラウドへの橋渡し』を担うモダンな創薬系仮想化基盤を実現するとともに、『ハイブリッド環境のひとつの理想形』を具現化するものでした。オンプレミスの重要データはクラウド上で保護され、ハイブリッド環境でBCP対策が強化されたことも成果のひとつです。これからもATSには、創薬系仮想化基盤にとどまらず、より幅広い領域で私たちをサポートしてもらえることを期待します」
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