関西圏の60拠点で800台のPC、500台のiPadを利用するスーパー・コートは、それまでPCの保守を他のベンダーに依頼していた。このベンダーがPC保守サービスから撤退することになり、コムリンクスが要請を受けたことが本プロジェクトの発端である。村田氏は次のように振り返る。
「PCLCMサービスにおける豊富な実績、DIS関東中央センターに併設されたキッティングセンター、PC運用・保守に精通したサービスデスク、修理申請や作業の進捗確認ができるカスタマーポータルなど――ATSのサービス内容と体制は十分に信頼できるものでした。実際に、既存ベンダーから業務を引継いで、ATSによる新体制を軌道に乗せるまでのスピード感には目を見張るものがありました」
プロジェクトは2024年2月に開始されたが、2か月後には既存ベンダーからATSへ保守サービスを切り替えなければならなかった。ATS DXソリューション事業部でオペレーションチームをリードする滝川善規氏は次のように話す。
「ヒアリングを通じて問合せから保守に至る手順を正確に把握しながら、ATSのサービス体制で漏れなく網羅できるよう、着実に新しい保守フローへと落とし込んでいきました。ドキュメントが残っていない部分も多く作業は難航しましたが、コムリンクス様と連携して一つひとつ課題を解決していきました。実質8週間で新しいフローに移行できたのは、スーパー・コート様の情報システム部門の協力を得られたことが非常に大きかったと思います」
2024年4月1日、コムリンクスは ATSと協力する新しい体制に移行してPCLCMサービスを開始した。
「ピタッとキャパシティfor PC」では、顧客企業ごとに用意される「カスタマーポータル」が保守サービスを円滑に進める上で重要な役割を果たす。24時間365日問合せが可能で、PCの手配や修理状況の確認、資産・契約情報の管理などが行えるウェブポータルである。
「現在カスタマーポータルを利用しているのはコムリンクスのオペレーションチームだけですが、将来的にはスーパー・コート様が直接ポータルを扱えるような体制に移行していきたいと考えています。情報システム部門様では、ポータル上で修理の進捗や予備機の配送状況を確認でき、資産管理台帳を統合することも可能になります。スーパー・コート様と話し合いながら、業務効率化に結びつくポータル活用を実現したいと考えています」と村田氏は話す。
「ピタッとキャパシティfor PC」は、コムリンクスの成長戦略の柱のひとつである「サービスポートフォリオの拡充」を通じて、同社のビジネス成長に貢献している。
「本プロジェクトでは、PCの調達を受託できたことも大きな成果です。PCLCMサービスの事業化は、ネットワーク分野に置けるコムリンクスの強みを活かしながら、ATSと協力することでより大きなお客様価値を創造した好例となりました。私たちがネットワーク保守サービスを提供している既存のお客様に対してもPCLCMサービスの提案を開始しており、非常に良い手応えを得ています」(丸橋氏)
PCの選定・調達をサポートするDIS 西日本営業本部の中村有希氏は、「DISからPCを調達いただき、ATSにPC保守を委託するスキームが確立したことで、DISグループとしてコムリンクス様のビジネスにさらに貢献できると期待しています」と話した。
「DISグループとの取引拡大は、コムリンクスにとって大きな意義がある」と話しつつ丸橋氏は次のように結んだ。
「ネットワークソリューションに強みを持つコムリンクスが、サービスポートフォリオを拡充して成長を加速させていくためには、国内最大級のITディストリビューターであるDIS、技術力の高いATSのようなITパートナーとの協力は欠かせません。私たちが今後さらにお客様価値の高いソリューションとサービスを提供していくために、両社とはより広い領域で協力体制を築いていきたいと考えています」