青森県教育庁が整備を進める「セキュリティ基盤」は次の主要技術によって構成される。ATSの 提案は、Microsoft製品を包括的に採用することで、ゼロトラストの要件を満たしながらコストを抑えられることが特徴だ。
ここには、数多くのMicrosoft 365導入を経験してきた ATSの知見が活かされる。
青森県教育庁「セキュリティ基盤」におけるゼロトラストセキュリティの実装
ゼロトラストセキュリティが実装された環境では、外部からのサイバー攻撃やマルウェアの侵入と いった脅威への対応だけでなく、内部からの情報漏洩や不正アクセスに対しても備えができる。
「学習系と校務系のネットワークを統合するプロジェクトを並行して進めています。IDベースの アクセス制御によって、児童・生徒と教職員がアクセス可能なシステムやフォルダ、データ、ファイル などを厳格にコントロールします。これにより、教職員は学習用と校務用で端末を使い分ける 必要がなくなります」(川口氏)
ATSの小林氏は、「Microsoft Purviewにより機密レベルに応じて自動的にファイルの暗号化・利用制限を行うことで、万一誤った宛先に添付メール を送信しても、許されたユーザーしかファイルを参照できないよう対策します」と続けた。
セキュリティ基盤では ID管理が Entra IDに統合され、シングルサインオンにより複数のクラウド環境をシームレスに利用可能になる。「教職員の 異動情報を反映する手順を改善することで、年度ごとのID更新の負荷も軽減できるでしょう」と川口氏は期待を示す。
2025年9月、プロジェクトは要件定義から基本設計の段階に入りいよいよ本格化している。ATSの小林氏は次のように話す。
「プロジェクトメンバーが青森県様の要件を詳細までお聞きして、チームとしてしっかりと意識合わせを行いました。2026年2月の利用開始に向けて、セキュリティ基盤の設計・構築とポリシーや権限の設定、オンプレミスのActive DirectoryからEntra IDへの移行、67の県立学校で運用しているファイルサーバーからSharePoint Onlineへの移行など難しい要件が山積みですが、経験豊富なプロジェクトマネージャー /エンジニアを中心に万全の体制で取り組んでいます」
新しい環境をスムーズに利用開始できるようATSが集合研修をサポートするとともに、トレーニング動画や使いやすいユーザーガイドも整備されるという。
「学校に設置されたファイルサーバーからSharePoint Onlineに校務データを移行する作業は、特に慎重に進める必要があります。教職員の方々が戸惑わないようフォルダ構造を工夫した格納エリアを準備し、ATSが開発したデータ移行ツールを使用して作業を進めていただきます。データ移行 中もKBS様と連携し作業をサポートします」(ATS小林氏)
2026年2月より利用が始まるクラウド型「統合型校務支援システム」と、これを支える「セキュリティ基盤」により、青森県の教職員の業務は大きく効率化され「教育改革」の推進は着実なものとなっていくだろう。川口氏は「学習系と比べるとやや出遅れていた校務系だが、本プロジェクトにより一気にDXが加速する」と話しつつ次のように結んだ。
「新しい『統合型校務支援システム』では、すでに導入されている『デジタル採点システム』と連携し、テストの結果が自動的に校務支援システムに反映されるなど、教職員の業務効率化につながる様々な工夫が盛り込まれます。『教職員の働き方改革』を通じた児童・生徒に寄り添うための余白づくりこそ、これらの新システムで目指すべき成果です。ATSには、目標の達成に向けてプロジェクトを成功に導いてもらえることを期待します」